生まれつきの天才を超える思考法 クリティカルシンキング 序章

どうもgive-keyです。

この世の中はいつになっても平等ではない・・・

そんな思いすら感じさせる壮大な壁が私たちの前に突如として現れます。

それが「天才」、「ギフテッド」といった類です。

  既に熟練の領域にいるような、同じ土俵だった筈なのにみるみる成長していく姿を目のあたりにしていくにつれて、自分の努力を否定されているような感覚に陥ることがあります。

  これは残酷ですが、どんなに努力しても生まれつき頭がいい人には勝てないというデーターがあります。

よく  

「一万時間を集中的に訓練に費やせば、誰でも天才の領域になれる」

  という「一万時間の法則」というのが、マルコム・グラッドウェル氏の書籍でありましたが、これは実は正しくない事が分かっています。

  ただ、この「天才」に唯一勝てる方法というのがあります。

 

  それが「合理性」 なんですね。

合理的な能力というのは簡単に言うと、偏見に囚われず、前提を疑う能力の事を指します。

  よくこれまで存在していた事実が、急に覆ったりするのはこの能力が、その専門の研究者に多いんですね。

  これを批判的思考、別名「クリティカルシンキング」と呼ばれています。

  今回の記事は、このクリティカルシンキングの具体的な鍛え方を紹介していきたいと思います。

 

参考文献


H. Scott FoglerH. Scott Fogler(2013).Strategies for Creative Problem Solving

 

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クリティカルシンキングとは

クリティカルシンキングとは、バイアスによって偏見を含んだ物事を、鵜呑みにしない力のことを指していて、

要は前提から把握し(無意識に反応している物も含む)、代替解決策を思案し、新たな視点を手に入れて問題を解決していく能力です。

 

例えば、昔なんかは東大に入れば勝ち組だと言われていましたよね?

親御さん世代なんかは、そういった風習のもとに育ってきたわけですから、それを自分の子に教える訳です。

ですが、そもそもなぜ東大に入ることで勝ち組と言われているという前提が、かなり曖昧に感じませんか?

何を持って勝ち組だと言えるのか、東大受験に合格することが「勝ち組」なのか、東大という看板をぶら下げているステータスが「勝ち組」なのかの定義をハッキリしないといけません。

 

今の時代、東大出身だからと言って誰もが認める大企業に勤めているとも限りませんし、大企業に就職しなくても成功されている方々だっているんですよね。

ましてや、大企業ですら終身雇用の時代は終わってきていますし、会社自体潰れる可能性も大いにある時代になってきているんですよ。

 

このように前提を覆すことで、新たな視点を手に入れて問題を解決していこうというのが、クリティカルシンキングです。

 

なぜ必要なのか?

私たちの日常には、その辺の石ころのように問題が転がっています。

それこそ、朝起きてからどんな服を着ていこうか、昼食はどこでなにを食べようかといった小さな問題も含んでいる訳です。

つまり、そういった押し寄せてくる問題が多岐にわたって複雑に絡み合い、それらに対する解決案が多くなるんですね。

問題の本質が見えずらくなって、その問題に最も適した解決方法を取捨選択する必要があります

 

このクリティカルの最大の目標は

「最良の問題解決策を選択する事」

そのためには、常日頃から問題解決スキルを磨き上げていく必要がある訳です。

 

ミシガン大学の産業界における問題解決についての包括的な研究では、多くの米国企業らの問題解決能力や技術を集めて、実際の問題を解決する際に発生する困難を分析したところ、

本当の問題が認識されるかどうかを確認することが最大の課題だということが分かりました。

 

つまり、どんなに画期的な問題解決ツールや技術を持ってしても、問題の本質までは見えないということになります。

 

ここでいくつか例題と答えを出しますので、あなたがどう感じたかを大事にしてください。

 

例題1:お腹を空かせたグリズリーと学生と教授

アラスカでバックパックをしていた、ある学生1人と教授がグリズリーに追われています。

学生はおもむろに取り出したランニングシューズに履き替えて走り出しました。

なぜでしょうか。

  1. グリズリーから逃げきるため
  2. 教授から逃げきるため

 

例題2:高級ホテルとエレベータ

ある高級ホテルは規模を拡大するため、階層を増やす工事を行いました。

しかし、ここでユーザーからエレベータが遅いとの苦情が沢山押し寄せられています。

あなたならどうしますか。

  1. エレベータの速度を早くする
  2. 各階エレベータの前に鏡を設置する

 

例題3:新デザインの紙幣

1990年、米国造幣局は紙幣のデザインを再設計し、品質向上プログラムを開始したが、新しい紙幣のインクは触れると滲んでしまうことが分かりました。

あなたならどうしますか。

  1. 滲まない印刷インクを製造するプロジェクトを立ち上げる
  2. 印刷機を新調する

 

例題4:荒地と作物

ある国では荒地に作物を育てる方法を見つけて農業生産を増やしたいと考えています。

十分な水が無いが近くに幸い川がありました。

あなたならどうしますか。

  1. 川の水を内陸に引き込んで土地を灌漑(かんがい)するためにダムを建設する
  2. 近辺調査を行う

 

答え

例題1:教授から逃げきるため

 

この時の問題認識は「グリズリーから逃げきる」ことでしたが、

学生が気づいたのは「グリズリーに捕まらない事」が実際の認識だったから

つまり教授より前にいる事で教授を犠牲にしているという事です。

 

例題2:各階エレベータの前に鏡を設置する

 

認識された問題は「エレベータの速度を早くする」ことでしたが、

そもそもの問題は、ゲストが待ち時間に耐えられない所から始まっています。

つまり、鏡に映る自分をチェックする事に余念がないゲストたちは、待ち時間が身だしなみを整える時間に置換されたという事です。

 

例題3:印刷機を新調する

 

この認識された問題は「滲まない品質の高いインクを作り上げる」という物でしたが、

実際の問題は「インクが滲んでしまう原因を調査する」ことにあります。

今回は新しいタイプの印紙に圧力をかけてインクを押し込むことが出来ない印刷機だったため、新しい印刷機を新調しました。

 

 

例題4:近辺調査を行う

 

確かに川の水を引き込むことが出来れば、無事に問題が解決できそうでしたが、今回ばかりはその対策が不十分、不正確だったということになります。

この場合、川に水を入れたことによって、土壌に含まれる塩分が融解し、植物の不毛性が生じました。

 

問題解決ヒューリスティック

先程の例題のように、問題が問題を偽造して本質が見えずらくなているのが分かるかと思います。

こういった問題に対して、道しるべを示すかのようなアプローチ方法があります。

それが「問題解決ヒューリスティック」です。

 

この段階的プロセスは、解決策を案内し、代替の解決策の道しるべを作る支援をすることを目的としています。

要は、問題の本質を理解させるために作られた体系的な手法なんですね。

この問題解決ヒューリスティックは5つの段階に分かれています。

 

問題を定義する

このステップは、まず問題を定義する所から始まります。

出来事の全体像を見た時に障害となりそうな事象といった困難なものを把握して、それを問題として定義します。

特にこのステップは頻出する可能性があり、息詰まったり、条件や基準が変われば都度定義を変更していくといったもの。

 

そして、その問題定義が出来たら次は以下の質問を投げかけてみるんですね。

  1. この問題は、以前に解決したことがあるか
  2. 解決する価値があるか
  3. どのリソースが解決策を得られると思うのか(時間・お金・マンパワー)

 

この3つの質問によって、本質を含んだ問題に近づけることが出来ます。

 

解決策を生成する

前回のステップが完了したら、次は解決策を生み出すステップになります。

このステップでは、産業界でも有名なアイデア立案のテクニック、「ブレインストーミング」という物があります。

科学で証明されたブレインストーミング

 

決定する

このステップではKepner-Tregoe戦略(KT戦略)に沿って進めていきます。

問題解決と意思決定のための構造化されたアプローチであり、4つの構成によって段階的に進めていくというものです。

 

1.状況評価

現在の状況や問題を理解するステップです。

組織への緊急性、重要性、または潜在的な影響に基づいて、最初に対処すべき問題やプロジェクトを優先順位をつけていく段階になります。

 

2.問題分析

問題が特定されると、問題分析が行われ、問題の根本原因を理解するステップになります。

問題を小さな部分に分解し、根本原因を特定します。

 

3.意思決定分析

このステップでは、特定された問題に対処するためのさまざまな解決策が生成されます。

各選択肢を実現可能性、効果、コスト、リスクなどの基準に基づいて評価します。

 

4.潜在的な問題分析

最後のステップはリスク管理への積極的なアプローチです。

選択された解決策の実施中に発生する可能性のある潜在的な問題やリスクを特定します。

特定された各潜在的な問題について、原因が特定され、それらの問題を回避または防止するための予防措置が計画されます。

さらに、その予防措置が問題を解決しない場合には最終手段も確立していきます。

 

解決策を実施する

意思決定を行い、潜在的な問題分析を通じて成功への計画を立てたら、次は解決策の実装です。

解決策の実装には、以下のテクニックが有効だとされています。

 

  1. アクションプランの作成: 問題解決のためのアクションプランを作成します。これには、必要なステップやタスク、担当者、期日などが含まれます。プロジェクト管理ツールやスプレッドシートを使用して、アクションプランを文書化し、追跡することが重要です。

  2. リソースの割り当て: 解決策の実行に必要な人材、資金、設備などのリソースを割り当てます。リソースの利用効率を最大化するために、優先順位付けや優先順位の再検討が重要です。

  3. タイムラインの策定: 解決策の実装に必要なスケジュールを策定します。各ステップやタスクの完了予定日を設定し、プロジェクトの進捗を追跡します。また、マイルストーンを設定して進捗を確認することも重要です。

  4. コミュニケーションの確保: チームメンバーや関係者との効果的なコミュニケーションを確保します。定期的なミーティングや報告の設定、コラボレーションツールの活用などが役立ちます。

  5. リスク管理と予防策の実施: 実装中に発生する可能性のあるリスクを管理し、予防策を実施します。潜在的な問題の特定と予防措置の実行が、解決策の成功に不可欠です。

  6. モニタリングとフィードバックの収集: 解決策の実行中に進捗をモニタリングし、必要に応じて調整を行います。関係者からのフィードバックを収集し、プロセスや結果の改善に役立てます。

これらの手順やテクニックを適切に組み合わせて、解決策の実装を効果的に行います。

 

以上が、「問題解決ヒューリスティック」の概要となります。

もうやめて…っていう声が聞こえてきそうなので、今回は概要だけに留めておきます。

この考え方はいたって簡単で

 

①そもそも取り上げる問題は何なんだろう?(問題の定義)

  1. この問題は、以前に解決したことがあるか ⇒ あるならこの問題は定義する必要ないよね
  2. 解決する価値があるか ⇒ よくよく考えたら問題にするものでもなかったわ
  3. どのリソースが解決策を得られると思うのか(時間・お金・マンパワー) ⇒ リソースによって規模感も変わるから把握して多く
  4.  

②そしたらどんな問題解決策があるか探ってみよう(解決策を生成する)

 1.ブレインストーミングでアイデアをどんどん出し合っていく

 

③出てきたアイデアを決定していこう

  1. 問題も分かったところで、おさらいとして現状はどんなものなのか確認して、対処する優先順位をつけるか
  2. 優先順位1の問題を大枠から徐々に不必要な情報を切り取って根本的な問題を掘り出す
  3. 根本的問題が分かったら、これを解決するための必要なものはなにか
  4. ここで問題についてアプローチするが、対処できない潜在的リスクを予想しておく
  5.  

④解決策を実施しよう

これまでの問題に対するプランを実行する

 

こんな感じの流れになります。

この問題解決ヒューリスティックは少し専門的な分野にもなりますので、クリィティカルシンキングの記事は、いくつかに分けて投稿していきます。

 

それでは、今回は以上です。

 

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