FXは本当に9割のトレーダーが負けているのか

どうもgive-keyです。

よく巷でFXは9割のトレーダーが勝てすに退場しているという情報が飛び交わっていますが、間違っているのではないかというテーマで解説していきます。

結論から言うと、FXに関しては、一般社団法人金融先物取引業協会が2018年4月に公開した「外国為替証拠金取引の取引顧客における金融リテラシーに関する実態調査」にてなんと6割も勝っているというデータがありました。

ただこの数字は少し罠が潜んでいそうです。

6割のトレーダーが勝てているという調査をよく確認すると、、、

この調査内容は、2017年に全国で20代~70代の男女1000人を対象に、1年間で利益を出したトレーダーは全体の60.3%でした、という内容です。

この数字だけを聞くと、冒頭でも話した通り、9割のトレーダーが負けているということがデマになるし、むしろこれから始めようとするトレーダーにとって夢のある話に聞こえますよね。

ですが、調査対象者をよく確認すると、

なるべく現状の実態を把握する意図のため、現在取引者を優先して抽出し、過去取引者についても直
近の取引が調査時点に近い人を優先して抽出した

とあるように、当時の損失を被って引退したトレーダーについては考慮されていないという点です。

つまり、損失を被ったとしても退場せずに生き残っているトレーダーを対象にした偏った調査だということが分かります。

6割のトレーダーに焦点を当ててみると、、、

とは言え、偏っていた調査といえど、6割は高い数字だと思うんですよね。

ただし、どこまでの利益を出しているか等が気になるところではあります。

この調査を見てみると、

「利益額が~20 万円未満」が 35.6%と最も高く、

性・年代別にみると、『利益を出している』計の比率は、男性 30 代で 66.4%と最も高い。
職業別にみると、『利益を出している』計の比率は、常勤雇用(役員・管理職)で 73.6%と最も高い。
世帯年収別では、年収が高くなるほど『20 万円以上利益を出している』比率が高くなっている。

結果を見る限り、中々厳しい現実を押し付けられたというのが、正直な感想ですよね。

今の年収に満足できていないからFXを始めた方にとっては、身も蓋もないですし、結局成功している人がFXでも成功するのであればモチベーションもダダ下がりです。

ですが、そう結論付けるのは早計です。

この2018年の調査を元に、日本のFXトレーダーの投資パフォーマンスに影響を与える要因を調べた研究があるので、こちらを紹介します。

FXで成功している人は誰なのか

2015年の研究を見てみると、投資パフォーマンスに影響を与えているのは、「金融リテラシー」の高さだったんですね。

金融リテラシーのレベルが高い世帯は、金融市場に参加する意欲が高く、合理的な投資戦略を実行する可能性が高く、世帯資産のかなりの部分を金融資産に割り当て、金融リスクの高い資産に投資したときに高いリターンを得ていることが分かったんです。

一方で金融リテラシーのレベルが低いほど、世帯の投資収益率が低くなることが分かりました。

この調査結果は、満足のいく投資収益率を得るために、世帯が財務管理スキルを高めるか、プロの財務マネージャーを雇うことを検討する必要があることを示唆しています。

ただ、この論文もFXについての論文ではないんですね。

株式投資についてはそこそこ研究はあるものの、FXのような高リスクについての研究はあまりなさそうです。

ですが、神戸大学の研究者は2019年に冒頭の実績調査を元に分析してくれました。

内容はどういうものかと言うと、FX投資家に対して三つの投資パフォーマンス指標の要因を分析してくれたんですが、その指標とは以下の通りです。

  1. 社会人口統計学的要因・経済的状況
  2. 投資戦略・取引行動
  3. 金融リテラシー

この三つの指標について分析した結果、以下の内容が得られました。

  1. 上記の三つの要因の影響度はかなり高い
  2. パフォーマンスが低い人は年齢が高く、投資戦略をもっていない投資家
  3. パフォーマンスが高い人は取引額が大きく、ファンダメンタル分析をより重視し、利益をもたらす投資スキルを会得していると報告する投資家
  4. 投資スキルを会得していると回答した投資家は、FX 取引についてより高度な知識を有していたり、専門的なアドバイスを享受したりしている
  5. 客観的な金融知識や自信過剰・自信過少はパフォーマンスにとって重要な役割を果たしていない

この結果を見てもなんのこっちゃなので、この結果の解釈を説明していきます。

推計結果の解釈

上記の結果の解釈はこうです。

高齢の投資家の投資パフォーマンスが相対的に悪い。

また、年齢と性別を掛け合わせた交差項がパフォーマンスに及ぼす顕著な影響は認められない。

さらに、学歴や職業、男女差がパフォーマンスに影響することも見られない。

年齢以外の社会人口統計学的変数や所得が何の役割も果たしていないことは注目に値する。


取引額が高いほど投資パフォーマンスが高い。

この影響は、2 つの考え方によって解釈できる。

 第 1 に、事後的なリターンがプラスである限り、より多くの資金を投資することはより多くの収益を生み出す。

我々のサンプルの平均収益は確かに正であるので、結果をそのように解釈することができる。

 第 2 に、取引額を取引経験の代理変数として見ることであり、経験が投資家のパフォーマンスに影響を与える可能性があることを示唆している。


損益額を所得で除したもの従属変数として用いる場合に取引額が有意であることから、取
引高が高いことは所得が高いことから生じる投資余力の大きさに依存しないということが
分かる。

つまり、貧富に関係なく大きな取引高で取引できる投資家のパフォーマンスが優
れていることが示唆される。


FX 取引におけるファンダメンタルズ分析とテクニカル分析に対する選好に関しては、前
者のパフォーマンスが良い。

この結果については、取引が行われている経済環境を理解するために投資家がどれだけ努力しているかを示す、情報獲得の程度の指標と見なすこともできる。


パフォーマンスの最も強力な因子の 1 つは、総じて利益を出すことができる投資スキルをもっていることとである。

それを金融リテラシーの主観的な形として解釈するならば、金融リテラシーのこの特定の面において非常に重要であると思われる。

つまり、高齢者の投資パフォーマンスが下がる傾向にあり、性別や学歴、年収が投資パフォーマンスに影響を与えないですし、成功している人がFXでも成功しているわけではないということです。

やはり、ファンタメンタルズ分析が優位性が高いのは金融リテラシーが高い、つまり投資スキルが高い投資家のパフォーマンスが高いという結果になりました。

では投資スキルとは具体的にどこまで指すのでしょうか。

投資スキルが投資パフォーマンスに非常に重要なファクターとして位置しているなら気になりますよね。

この辺も深堀してくれているのでありがたいです。

具体的な投資スキルとは

分析の結果、投資スキルは年齢、性別、投資経験、客観的な知識や取引額に関連性が無かったそうです。

むしろ、「メンタルトレーニング」によって得られた知識が関連性が高いようです。

メンタルトレーニングと答えた97%の投資家は、FX取引の仕組みや、リスク管理、資金管理の知識があると答えており、

財務に関する知識があると答えた人は83%、

基礎的な分析技術があると答えた人は78%、

技術的な分析技術があると答えた人は84%となり、

メンタルトレーニングに至るまでの幅広い投資知識が、利益に直結する投資スキルを獲得するために必要だということが分かります。

投資に関する心理学、ネガティブな感情の扱い方、デバイアスなどの人間特有の不安を克服するために、投資に関連する知識を学び、土台にある原理原則を理解し、金融リテラシーを高めることで自ずとメンタルトレーニングになるんですね。

広島大学の研究を見てみると、お金に関する不安解消は金融リテラシーを高めることが重要だということも分かっていますし、メンタルトレーニングは金融リテラシーがあってこそなんですね。

まとめ

FXにおいて9割のトレーダーが負けるという情報はデマだと裏付ける証拠にはなりませんでしたが、もし退場しないで続けていた場合、6割のトレーダーが勝つことが出来るというお話でした。

また、その6割のトレーダーの特徴として「金融リテラシー」が高いことが最も重要でしたね。

その金融リテラシーを高めるためには、己のメンタルトレーニングを高める段階で自ずと蓄積されていくというのが今回の記事になります。

私としてはファンダメンタルズ分析は避けてきたんですが、これを機に勉強しようかなと思うところではあります。。。

学べたらまた記事にして展開していきますので楽しみに待っていてください。

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それでは今回は以上です。

また次の記事でお会いしましょう。

参考文献

Financial Futures Association of Japan (2018), Overview of Financial Literacy Survey of Investors in Foreign Exchange Margin Transactions, Tokyo: Financial Futures Association of Japan

von Gaudecker, H.-M. (2015), How Does Household Portfolio Diversification Vary with Financial Literacy and Financial Advice?

Hayo and Iwatsubo (2019), “Who is Successful in Foreign Exchange Margin Trading? New Survey Evidence from Japan

Kadoya Yoshihiko and Mostafa Saidur Rahim Khan(2016).Financial literacy reduces late-life anxiety

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