どうもgive-keyです。 いよいよVIA理論も終盤に差し掛かってきましたが、今回紹介するのは「節制編」となります。 前回も少し触れましたが、「節制の美徳」というのは、簡単に言うと節度ある行動や自己制御に関する強みです。 「勇気の美徳」とは対照的と話しましたが、対照的な部分としては心の動きなんですね。 「勇気」とは、主に不安に対しての行動だったり、恐怖に立ち向かったりする場面に多く発揮するのに対して「節制」とは怒りを抑えたり、怠惰や傲慢と言った悪影響を及ぼす感情に対して発揮されています。 つまり、人間特有が持つ感情的な部分、特に「取らなくてもよい行動」を誘発させる感情部分を抑える力をまとめているのが「節制」というものになります。 それでは、「節制の美徳」について解説していきます。 参考文献 強みの育て方.ライアン・ミーニック VIA強みテスト Character Strengths and Virtues:A Handbook and Classification. Christopher Peterson. Martin E. P. Seligman この続きを読むにはスタンダード会員の登録が必要です 節制の美徳: 寛容さ 寛容さとは、自分に不当なことをしてきたり、傷つけてきたりする人に対して理解を広げる事をいいます。 厳密にいうと、それは手放す事と同義とも言えるんですね。 つまり不当なことをされて生じるフラストレーションや失望、恨みなどの痛みを伴う感情を手放す事を言います。 この世の中ってどうしても許し難い相手というのは存在するんですよね。 そういった人種っていうのは大半が、どう対処も出来ないのが現実なんですよ。 確かに社会的にのし上がれることはあっても、存在する以上は不利益が生じるのは変わらないんです。 だからこそ、倒すのではなく赦すという選択肢を設けて、自分を守るというのがこの寛容さという強みです。 どうしてもこういった感情に私たちは囚われてしまうので、他人の人生に振り回されてしまいがちですから、この強みを持っている人はかなり得をします。 因みにこの強みを持ち合わせていると、人間関係が生産的になり、チームワークが発揮されるし、仕事の満足度が向上します。 相手の嫌なところや許し難いミスでも気にしないので、生産性が上がるんですよね。 むしろチームワークを発揮できるので、個人の士気も向上しますし、革新的な解決能力が見つかる可能性や、問題に対して柔軟性を持って対応することが出来ます。 更には感情が安定しているので、他人の好感度が高まると言ったメリットもありますので、むしろ寛容さを発揮していた方が、自分に対しての敵が減る可能性も示唆されています。 自問自答ワーク どんな環境にいると寛容になりやすくなるか、人生で一番許せるのは誰か、またその理由 逆に寛容になれない状況はあるか 人を許すとどんな気持ちになるか 許す気持ちと責める気持ちの折り合いはどうやってつけているか 許すことのメリット・デメリットは何か 過去に誰かの事を許し難いと思ったことはあるか、またそれはなぜか 4つの行動で考える 人間関係 恨みをもっている人の中から、一人選んで、直接話をしてみる、それが難しければ、本人と会話している姿を思い浮かべて、相手を赦して水に流すイメージトレーニングをしてみる 職場 最近、上司、部下、同僚の発言で気分を害したことについて考える、意見が合わない場合でも、相手の観点からそのことを振り返ってみて、怒りを過去のものにする練習をしてみる コミュニティ 些細なことを気に留めずに受け流してみる、例えば運転中に割り込みさrたとしても、無視されたように感じたり、自分の気持ちを汲んでもらえなかったりして侮辱を受けた気分になっても受け流してみる 自分自身 自分に寛容になる、些細なミスをしても自分を許して気持ちを和らげてみる、ミスを犯した自分を許しながら、次はどうやったら上手くいくかを考え、実行に移すと誓うようにする デメリット 寛容さというのは、公平さとぶつかった場合に十分に発揮できないことがあります。 例えば、自分の事を公平に扱われていないとすると、公平さが反応して腹を立ててしまい、相手に罰を受けるべきだと考えてしまうので、ここでは寛容さが発揮できず、逆にそれを赦すとなると、公平さが発揮できなくなります。 後は自分を守ろうとするあまり、寛容さが発揮できないこともあります。 相手を赦すという事は逃がすということでもありますから、ここで逃がしたらまた違うタイミングで傷つけられるのではと考えてしまうので、ここで逃がすのは危険だと思ってしまう訳です。 それ以外にも、ずっと敵視し続けていれば、ある程度の相手からの攻撃にも適応されているので、これ以上傷つく心配がないという気持ちからも寛容さが発揮できない事もあります。 一方で、寛容さの出し過ぎは相手に食い物にされるので注意して下さい。 どれだけ何を言っても、何をしても赦される側の立場から見れば、いくら踏みつけてもいいようなヒエラルキーを下に追いやるような行動に走る可能性があります。 そういった場合は、その相手を赦した時の未来を思い浮かべた時に、やり直しを与える価値があるか無いかを考えてみて下さい。 節制の美徳: 謙虚さ 謙虚さとは、自分の成果を正確に評価する事です。 具体的に言うと、自己承認欲求を捨てて、自分の無知な部分、不足している部分も視野に入れて淡々と成長することに余念がないことです。 よくSNSとかで、自撮りやファッションを公開して他人の評価を期待している投稿をよく見かけますが、謙虚さを持っている人は、それがありません。 自分磨きは己のみの問題として捉える事が出来、自分の足りない場所をひたすらに改善していくことに満足感を感じているんですね。 この強みを十分に発揮できていると、バランスの取れた正確な視点で自分を捉え、広い世界での自分の居場所を見極めることが出来る上に、自分の至らない所を素直に認め、他人の成功に助力することも可能となります。 更には、自己肯定感と自尊心も高まります。 「自分なんて大したことないですから」といった控えめさとは違って、自分を下げすさむことじゃないんですよ。 自分の能力を評価するのに他人の評価を必要とせずに、自分の中で完結、正しく評価できるからなんですね。 また、この謙虚さは他人に素直に感謝することが出来るので、ストレスレベルが低い傾向にありますから、健康レベルが高くなります。 後は、研究によれば貢献度や愛嬌、寛大さが高まることが分かっています。 他人と自分との境界線がしっかりと確立出来ているこの強みは、他人の成功になんの妬みもなく評価することが出来るので、他人の成功の為なら助力することになんの躊躇いもありません。 そういう性格の人は一言で言うならモテる訳ですよね。 人に愛されることで、社会的な絆も生まれますし、人の脅威としても認識されなくなるので、幸福度や、親切心といったものも高まることが分かっています。 自問自答ワーク 自分の謙虚さに周りはどんな反応をするか 自分の謙虚さの源はなにか、また謙虚さをどうやって表現しているか 謙虚さと承認要求の折り合いをどうやってつけているか 4つの状況から考える 人間関係 謙虚になる心構えをしてから、親しい人とコミュニケーションをとってみる、様々な状況でどうやったら謙虚に行動できるか、数分考えてから話をするようにする 職場 同僚のアイデアに耳を傾け、いいアイデアだと思ったら相手を褒めてみる、その場合、自分の考えは付け足さないように注意する コミュニティ 自分のコミュニティで謙虚さの手本になる人を探してみる、その人が謙虚だと言える証拠について考えてみる、自分が気づいた所を、他人に共有してみる 自分自身 自分の性格の強み、才能、興味、能力をじっくり観察して評価してみる、静かな場所で心を俯瞰的に眺めながら、自分の強み一つ一つに評価してみる デメリット この謙虚さのデメリットですが、そもそもこの強みを持っている人が世界的に最も少ないことです。 謙虚さが発揮できない状況として、誰しもが陥ってしまう自惚れ、人間というのは少なからず「他の人よりは優れている」と思いたい人種です。 これは平均以上効果と言って、アメリカのホープ大学の心理学者であるデイビッド・マイヤーズが提唱したものになります。 あと、自分自慢やSNSで投稿しているような承認要求は、当然ながら謙虚さを発揮できません。 確かに、自分の成功や偉業を少しだけでも人に伝える事は、話し手と聞き手の幸福度にいい影響を与える事は科学的に証明されていますが、目的が自分勝手になってしまいがちになり、ただ自分を売り込んでいる事に気付かない事もありますので注意が必要です。 自分が成功したとして、その結果までにどれだけの他人の貢献があったのか忘れてしまったり、他の人が認められて自分が認められなかった時に、相手を評価できなくなったりライバル意識が剝き出しになって相手の業績を評価できなくなったりして、いつの日か謙虚さを失っていることがあります。 逆に謙虚さを発揮しすぎてしまうと、自分を卑下し、批判的になり、自分の能力に卑屈になったりします。 よく謙虚さが大事だと思ってよくやっているのがこれです。 相手に自分の事を知ってもらって人間関係を育むプロセスの中、この強みを発揮させすぎると相手に自分を正しく知ってもらう機会を失うばかりか、秘密主義で心を開いてくれない人だと思われるので上手く関係が構築できません。 節制の美徳: 思慮深さ 思慮深さとは、注意深く選択し、リスクを把握して無駄なリスクを冒さないように行動する強みです。 要は、後先考えずに何でも行動する人と対照的で、自分の衝動を自制心で抑え、慎重に行動していくことです。 例えば、何か人生の中で重大な決断を迫られているとします。 その決断を迫られた時に、その決断は今する必要があるのか、決断する際に見逃している情報はないか、その決断を取った時のリスク、取らなかった時のリスクは何か、そしてそのリスクを天秤にかけた時にどちらを選択するのがいいか、長期的に見た時、中期的に見た時、短期的に見た時の見え方は何が違うか・・・ といった思考で決断をするための推論を展開していきます。(あくまでも一例です) この思慮深さは知性的になったり楽観的になれますし、健康になったり成績があがったりといたメリットがあります。 上記でも書いた通り、決断するまでに深く思考するので様々な情報に触れる機会も多いですし、リスクについて熟考するので楽観的にもなれたりするんですね。 更には健康も体が資本だと捉えているので、身体を壊すことがリスクだったりする訳ですよね。 肉体的なリスクや精神的なリスクを避ける傾向にあるので、全般的にリスク回避能力が高いといった特徴にあります。 この思慮深さは人にも適用されるので、他人への協調性や、優しさ、洞察力も向上します。 人間関係を壊すリスクを回避するために他人に対して観察するようにもなりますし、助け合って解決しなくてはならないこともあるので、協調性と他人への助力も必然と高まります。 自問自答ワーク 思慮深さは人生でどんな風に役に立っているか 人生のどんな場面で思慮深くなったり、ならなかったりするか 自分がリスクを冒さなかったことについて、どんな風に後悔しているか 思慮深くなると得すること、損することはなにか 4つの状況で考える 人間関係 別のプロジェクトや課題に取り組む前に、信頼できる友人や大切な人に相談して、相手の意見を聞いてみる 職場 行動する前に物事を整理、計画したりして、ミスをしたりゴールに届かなかった場合のリスクを計算した上で作業を始めてみる(カリキュレーテッド・リスク) コミュニティ 運転している際に、自分の心と体で感じているものに注視して、緊急対応が必要で時間に制約があるものはそんなに多くない事を心に留めながら安全運転に心がけてみる 自分自身 1日の残りの時間をどう過ごすか計画を立ててみる、一時間ごとの予定を書き出してみて、その予定に関する自分の考えや動機、欲求、感情について考えてみる デメリット この思慮深さというのは忙しくなったり、手数が多い作業だったりすると上手く発揮できません。 特に現代社会のSNSでは「即レス」だったり、誘惑が多い情報過多の時代では、じっくり考えて行動したり、リスクを考えて行動するといったことが困難になってきています。 よく派手にアピールしているもの、インスタ映えといって色鮮やかな物、過剰な物がその辺りに転がっているこの現代では集中力が続かなくなっているのも原因の一部となります。 あとは、周りからのプレッシャーからも発揮できない要因となっています。 現代の情報に毒された周りの人から見た思慮深い人は、判断が遅いために急かされることが多いです。 その圧力に負けて直感的に行動できない自分に不甲斐なさを感じたり、その影響で後先考えずに行動してしまい後々後悔する悪循環に陥ってしまいます。 今度はそれを頑なに拒否し続ければ今度は頑固で融通が利かない奴だと認識されてしまいます。 中々世知辛いですよね。 後は、思慮深さのバランスをしっかり考えて行動しないと、一歩先を踏み出した先にチャンスがあるのにそれを踏み出すことを恐れてチャンスを逃したりしてしまいますので、計算されたリスク(カリキュレーテッド・リスク)を取りましょう。 節制の美徳: 自律心 自律心は、自己コントロール能力に直結する強みです。 自律心の強みが強い人は、物事を遂行するのに適度に自信があったりとか、目標に向かって効果的に進む自分の行く先のかじ取りが上手です。 目標に向かうまでに、失望したり、不安になったり、変な誘惑に駆られたりする訳ですが、そういったネガティブな気持ちや衝動をコントロールできるため、周りからも評価されます。 そういった所から、目標達成率が向上しますので、必然的に将来成功する可能性が高くなります。 また常に自分の感情と向き合っているため、感情コントロールが上手く、自分のメンタルを安定させています。 更には、依存症になりにくいといった特徴もあります。 お酒の飲む量を制限したり、禁煙したりする成功率が高いんですね。 マインドフルネスでも「今この瞬間に注意を向ける」といった、自分の思考を引き戻す力や、自分の呼吸している瞬間に感じる感覚や、歩行している時に感じる体の感覚に注意を向ける行為は、言わば、現状に絶えず立ち戻ることです。 そういった注意力も自律心というのは管理することが出来るんですね。 自問自答ワーク 人生最大の成功を掴むうえで、自律心はどのような役割を果たしているか考える 人生で一番自律心を発揮できているの分野はどれか どうやって不要な衝動をコントロールしているか、どんなテクニックや方法を使っているか 感情や衝動をコントロールするのが一番難しくなるのはどんな場面か 自律心が発揮できていない時に、どんな考えが浮かんだり、どんな気持ちになるか もっと自律心を発揮すると、どんな分野が改善するか 曖昧な状況や予測できない状況で、自律心は忍耐力にどんな風に影響するか 4つの状況から考える 人間関係 今よりも経済的に自立をするといったような、解決に時間と規律が必要な家族問題について考えてみる、目標を達成するための計画をしっかりと見据えながら、その手順と問題点を洗い出す、そしてその項目ごとに制限時間を設定し、家族のために自律心を発揮して取り組んでみる 職場 仕事での長期的な達成目標を考え、目標達成のために書き出しておいた手順に従って自律心を発揮っする コミュニティ 地域やコミュニティ密着型イベントでやるべきことを書き出してみる、行動計画を立てて、実行に移してみる 自分自身 注意力をコントロールして、自律心を内に向けてみる、これはマインドフルネスの練習になるので、下記のリンクからマインドフルネスの詳しいやり方を学んでみる 世界で認められた瞑想プログラム MBSR デメリット 自律心が発揮できていないとなると、社会的問題や、個人的な問題に直結する深刻な問題に発展します。 自分の欲望や衝動が上手くコントロール出来ていないことになりますから、規律で守られているこの世界では一定数の衝動を抑える抑止剤としてある訳です。 この抑止剤を無視して自分の衝動に素直になった時にどうなるかは考えなくても分かるでしょう。 しかし、ずっと自律心が継続されるかと言えばそうではありません。 言わば筋トレなんですよね。 常に限界まで挑戦して初めて継続できる力が養えるんですが、分野によっては使用する部位が違うのと同じで、鍛えられていない分野に関してはすぐに疲弊してしまうこともしばしばあります。 例えば、性欲、金銭、飲食、運動、注意力、衝動、感情といった重要な分野において自律心を発揮できていない人が多いです。 食欲に関してはコントロールできるけど、注意力が散漫しがちだという人は、食欲に関してはなぜ自律心が発揮できているか研究する必要があります。 また自律心を出し過ぎてしますと、完璧主義になる傾向が強いです。 そうなると、自分の自律心にがんじがらめになって身動きが取れなくなってしまいます。 そもそも自分の衝動や誘惑に抗える確率というのはそんなに高くありません。 自分の意志力でそういた衝動を抑えるというのはせいぜい50%が限度なんですね。 つまり、完璧主義者になったあげく抗える確率が50%であるなら、自分の事を責める可能性が出てくるし、どうにでもなれ効果になりやすいので注意が必要です。 また、自己管理が徹底していると、周りの人たちから偉そうと思われることがあります。 これは、完璧すぎる人を見た時に自分と比べられている感覚に陥りますよね? 結局は他人からの僻みからきているレッテルなんですが、そう思われる可能性もあるので注意しましょうということです。 まとめ 以上で、「節制の美徳」に関する強み4つを紹介してきました。 内容的に自分の内なる感情や、衝動の管理、コントロールに特化した強みだという事が理解できたのではないでしょうか? やはり感情で行動指針を決めてしまう私たちは、こういった強みを持ち合わせる事で、人生の舵取りが効率的に改善できるのではないでしょうか。 どうしても特定の条件下において感情が揺さぶられるのは自然な反応です。 恐怖を感じた際に逃げるという選択肢は、当たり前ですが自分の命を守るための回避行動ですので切り離すことはできません。 しかしながら、リスクを考えたうえで取るべきリスクと判断できた場合に、その先にチャンスがあれば積極的に取っていきたいもの。 そういった行動力を発揮させるためにはどうしても「節制の美徳」の強みが必要になってくるんですね。 この強みを高めたい方は上記の強みを高めるワークを是非やってみて下さいね。 次回は最終編となります。 「超越性の美徳」について解説していきたいと思います。 この「超越性の美徳」は「知恵の美徳」の対照的な立ち位置にあります。 「知恵」とは、得た知識を使って人や自分の為に善い行いをすることに関係している一方で、「超越性」とは、完全には知りえない物や到底分かりえない物を理解した上で、その知識の限界を認識し、その認識を活かして善い行いをすることに関係しています。 また詳しい話は次回の記事でお会いできたらと思います。 では今回は以上となります。 それでは。