どうもgive-keyです。
今回はバイアスに陥った時の解除方法、通称デバイアスと言いますが、こちらについて12個のデバイアス方法をまとめてみましたのでご紹介します。
バイアスを具体的に知りたい方は下記のリンクから是非アクセスしてみて下さい。
また、自分がどのようにバイアスに陥っているかを測るためのテストがあるので、こちらも是非チェックしてみて下さい。
バイアスに関してのお勧めの本がこちらになります。
それでは早速本題に移りたいと思います。
参考文献
Jack B Soll(2013).A User’s Guide to Debiasing
Derek J(2004).Blackwell Handbook of Judgment and Decision Making
Larrick, R. P., Mannes, A. E., & Soll, J. B. (2012)The social psychology of the wisdom of crowds.
Jain et al.(2013). Unpacking the future: A nudge toward wider subjective confidence intervals.
Volpp et al.(2008).Financial incentive-based approaches for weight loss: a randomized trial
Charness&Gneezy(2009).Incentives to Exercise
Volpp et al.(2006)A randomized, controlled trial of financial incentives for smoking cessation
Beshears、Choi、Laibson&Madrian(2012).Active choice, implicit defaults, and the incentive to choose
デバイアス
教育
デバイアスの基本中の基本で、先ずはバイアスについて学びましょうということです。
これはこの記事を見ている方は、デバイアス出来ているという事にもなりますね。
要はバイアスについて勉強すればするほど、バイアスにかかりづらくなるというのが分かっています。
例えば、経済学や統計学を学んでいる学生というのは、この分野の基本原則を利用することが出来ると言った結果になっていまして、具体的にサンクコストバイアスや小規模なサンプル数の結果の信頼性を疑う事が出来たという事が分かっています。
ただし、この教育という方法でデバイアスするには、「継続的な勉強」が必須となっているんですね。
この研究でも、特定の内容を勉強しないと時間の経過と共に効果が薄れる傾向にあると言っています。
バイアスについて勉強をした直後からデバイアスの効果が得られ、その後2週間についてはデバイアス状態が続きます。(Fong&Nisbett、1991)
しかし、その後の定着率というのは徐々に薄れていく事が分かっているので、私たちは常に勉強し続けなければならないという事になります。
代替案の作成
これは複数の意思決定タスクに直面した時に、一つのタスクとして処理するのではなく、選択肢を複数設けて吟味する方法です。
A、B、C、Dという選択肢が与えられた状態で私達がやりがちなのは、4つ全て一つとして捉えて意思決定してしまうんですね。
例えば、夜ご飯の献立を考えている時に、和食、洋食、中華、焼肉という選択肢があります。
良くやるのは、
「昨日和食だからやめようかな、中華か洋食を比べるとどっちが食べたい気分かな、全体的にそれらのジャンルに通用するような食材あったかな」
と比べたりしてしまうことです。
ここで言う代替案の作成とは、一つ一つの選択肢を吟味することで新たな視点が生まれてくるというものです。
和食だったらこの食材で満足できる品数作れるな、ただ合う肉は余り無さそう。
洋食だったら、ご飯進む料理作れそうだし、お肉も沢山入ったレシピもあるから子どもに喜ばれるな。
こんな感じで、一つのジャンルについて様々な思考を巡らせると、「今は質というより量に意識が向いているんだな」と発見することが出来るんですね。
プロスペクティブ・ハインドサイト
私達は自分が成功する可能性を過大評価する傾向があるんですよね。
なんの確証もないのに、はたまたネガティブな人でもいつか自分は成功する一人になる事は出来る、ただ今はその準備が足りないと思っているんです。
こうなる原因は「確証バイアス」の影響によるものです。
つまり、自分にとって都合のいい情報だけを取り入れてしまって、机上の空論で展開してしまう危険性を孕んでいます。
こういった現象を克服するには、失敗する可能性の理由を考える事です。
つまり、失敗する未来の自分を想像して、「なぜうまくいかなかったのか」「何が障害になったのか」を考える方が、より良い意思決定が出来るとされています。
勘違いして欲しくないのは、「きっと失敗する」「どうせ」とネガティブな感情に駆られて想像するのではなく、「失敗するとしたら原因は何なのか」と冷静に検証して下さい。
弁証法的ブートストラップ
弁証法とは、ある仮説や主張を検証するために、あえて矛盾や対立させる主張をぶつけて妥当性を確認するものです。
この方法は、簡単にいうと直感的判断と、論理的判断をぶつけて間を取りましょうと言うテクニックになります。
例えば、
①相場観で上昇傾向か、下降傾向かを判断します。
ここでは上昇傾向だとしますよね。
その後に、
②その直感は間違っていると仮定し、テクニカル分析で上昇トレンドかレンジか下降トレンドかを見極めていきます。
そしたら下降トレンドだとします。
その後に、
③直感判断と論理的判断をぶつけて、平均をとります。
直感では上昇傾向だけど、テクニカル分析では下降トレンドだからレンジ目線でトレードしてみるか。
こんな感じになります。
あくまでも一例ですが、実はこれはちゃんと研究があります。
2009年の研究では、個人の集団による平均的な定量推定値は、常に一般的な推定値よりも正確であり、最良の推定値にもなり得るとあります。Stefan Herzog and Ralph Hertwig (2009)
これは、個人的な誤差が互いに相殺される傾向にあるため、シンプルに個人個人での推定値よりも、平均の力を活用した方が個人が導き出した推定値を改善することが出来るんですね。
つまり、それらを平均化すると多くの場合、互いの誤りを相殺しあうので、1つ目の予測と2つ目の予測よりも精度が向上するという事です。
不確実性分割
私たちは、未来の特定の現状や結果が起こる可能性が完全に予測できない状況を不確実性といいますが、この状況下に置かれた場合に予測の精度に影響を与えるバイアスに陥ります。
それが「自信過剰バイアス」です。
未来が不確実であればあるほど、自分の能力や知識を過大に評価し、意思決定に歪みを生じてしまいます。
例えば、
「この相場は荒れてるけど、全体的に上昇傾向だし、上狙いでエントリーすれば勝率は高めに出るだろう」
このように相場が荒れてリスクが高い状況なのに、無理やりエントリー根拠を探して無茶な取引をしてしまいます。
これを防ぐために何をすればいいかというと、
不確実性を分割しましょう。
自分が決めなくてはならない内容に対して、細かくプロセスを分割させて不確実性の予測区間を短くさせてあげます。
そうする事で、予測の命中率があがるんですね。
先程の例でいうと、
「全体的な相場は荒れているから、全体的な方向は上目線かもしれないけど、各時間足でテクニカル分析がしやすい時間枠を探してみよう」
「4時間足で見てみると、テクニカル分析が機能しているから、これを基準足にしてみるか」
「4時間足だとスイングトレードだから、長期間保有する必要があるな、自分のトレードスタイルじゃないから今回は見送った方がよさそうだな」
「仮に4時間足を上位足として見たと時に、1時間足で基準足にすることが出来るかな」
「1時間足だと、方向感が分かりずらいからデイトレード出来ないな」
「仮に1時間を上位足で見た時に、30分足、15分足は基準足にすることが出来るかな」
といった感じで、小分けにプロセスを分ける事でデバイアスになります。
またこのテクニックは時間に対しても有効です。
3カ月後に資格を取ると計画したら、先ずは1カ月後と2カ月後の段階計画を予測するといった具合です。
1カ月後にはAの参考書を2周解き終わっていて、2カ月後にはAの参考書とBの過去問を使って正答率90%位に落ち着いているという予測をします。
こうすることで将来をより先まで予測していると感じ、3カ月後の未来に対して自信過剰になるのを防いでくれるんですね。(Jain et al., 2013)
チェックリスト
ここでいうチェックリストとは、
「行動基準や項目の一覧を体系的に並べたもので、個々の項目の完了/未完了を記録して、全てがどのような状態にあるのかを確認し、最終的に全ての項目を完了状態にする目的」
として定義されています。
私達の記憶というのはとても曖昧で、メモリーバイアスという、記憶がしっかりしていると思い込んでしまう特性があるんですね。
チェックリストというのはこのバイアスをデバイアスするためにとても効果的です。
航空業界でもこのチェックリストを活用されていて、フライト前のプリフライトプロシージャや、緊急時のエマージェンシープロシージャ、といったチェックリストを活用することで、エラーを46%も減らすことが出来たんですね。
更には、医療の世界でもこのチェックリスト方式を活用して医師と看護師、患者の連携が密になりエラー防止になったり、患者のケアの品質をも改善する事が出来たんですよ。
このように、極度な複雑な環境、高ストレス、疲労の状況下においてバイアスにかかりやすくなる環境で特に効果が高いことが分かっています。(1)
このテクニックを普段使うのなら、自分の行動とルールを一体化するといいでしょう。
例えば、
・朝早く起きたら(ルール)、30分瞑想する(行動)
・損切りを受け入れたくない時は(ルール)、その瞬間に有無を言わさずに損切りする(行動)
インセンティブ
インセンティブとは、簡単に言うとご褒美に当たります。
自分が下した賢明な判断にご褒美を与える事で、悪い選択を選びにくくする効果や、モチベーションを高めるのに有効なテクニックです。
特に金銭的インセンティブはダイエットや禁煙、薬物使用、運動習慣を身に着けることが出来る事が分かっているんですね。(Volpp et al.、2008)(Volpp et al.、2006)(Charness&Gneezy、2009)
習慣を身に着ける際にも、行動の反復的な参加を促進させるインセンティブを活用することで、インセンティブを取り除いた後も持続するという事も分かっているんですよね。
ただ、一つ問題があって1999年の研究を見てみると、インセンティブを上げるだけで合理的違反が解消されたという研究は無いと指摘されています。
つまり、先入観や直感といった非合理的な判断の解消といった、合理的思考を促進するものでは無いという事です。
このテクニックの使いどころは、何をすべきか分かっているのにあれこれ考えて行動できない場合や、選択肢が沢山あって選ぶ選択肢は分かっているのに他の選択肢に惑わされている場合に有効です。
例えば、禁煙することが正しいと分かっているけど、どうしても煙草に手が伸びてしまう状況で、「ここを乗り越えれば、金額報酬が貰える」という状況を作るなら、かなり効果的といったものになるので、インセンティブは使いどころが分かっている時のみにしましょう。
アカウンタビリティ
インセンティブが、意思決定者のモチベーションを高めると同様に、行動に責任を取らせて、モチベーションを高めましょうと言うのが、このアカウンタビリティというテクニックです。
2008年の研究では、自治体が投票率の低さに悩んでいてどうしたら投票率が上がるかどうかを調べた研究を見てみると、自分の行動が家族や近隣住民に公表するといった郵送物を受け取った人々の投票率が大幅に向上したんですね。(Gerber、Green&Larimer、2008)
つまり、社会的圧力によって行動に責任を取らざるを得なくなくなる心理状態となります。
このテクニックは、同調圧力(ピアプレッシャー)と原理は一緒で、周りの関係性を重視して、大勢の意見に従うと言ったものになります。
これを上手く使うには、自分が変えたい環境や、行動したい事を常にしている集団に身を置く事です。
また、そういった目標となる友達を見つけるのも効果的です。
このテクニックも使いどころによっては問題があって、あくまでも自分の努力によってデバイアスになるのはいいのですが、そうでない場合は周りがやっているからこれが当たり前の事だと言うように、同調によって生まれた偽の一貫性を正当化できる仕組みが確立されてしまうため、同調バイアスや自己呈示バイアスに陥ってしまうので注意が必要です。
コンシダーオポサイト
これは、かなり単純で汎用性のあるテクニックになります。
それは何かというと、「最初の判断を逆に考える」というものです。
実際に2000年の研究では、アンカリングに対する有効な戦略として、実証されているんですね。
他にも自信過剰バイアスや、後知恵バイアスにも効果ということが分かっています。
具体的にどのようにこのテクニックを使うのかというと、
「最初の判断が間違っているとしたらその理由は何か?」
を考えるだけでいいんですね。
これは自分の考えに焦点を当てて、あえて別の視点で物事を捉える事が本質なので、一種のクリティカルシンキングにもなっています。
こうすることで、過度に狭いサンプル数を拡大する事に繋がり、新たな視点が生まれるということなります。
計画プロンプト
これは望ましい行動を完了するまでのプロセスを詳細に決めるというものです。
意思決定者が先延ばしや物忘れから起きる意思の継続の失敗を避けるために役立つテクニックです。
よくどうにでもなれ効果という状態に陥ると、継続が難しくなるのはこの継続の意思を自分の失敗によって挫折するからです。
個人が意図した行動を「いつ」「どこで」「どのように」を決められた計画は、心理的に破ることが難しく、行動を細かく設定しているので記憶の定着に繋がると言います。
要は、事細かく行動のプロセスを書くことによって、頭の中で細かい段取りが勝手に進んでいくんですよね。
そうすると、一度その行動を頭の中で実践している事になるので、始める前の面倒といった心理的な障壁が無くなり、頭の中で反芻しているので記憶の定着にも効果があるんです。
この計画プロンプトは、投票率や、ワクチン接種率、内視鏡検査率を含んだ重要な内容の行動の成功裏に使用されていたんですね。(Nickerson&Rogers、2010)(Milkman、Beshears、Choi、Laibson、&Madrian、2011)(Milkman、Beshears、Choi、Laibson、&Madrian、2013)
ではどのようにこのテクニックを使うかというと、自分がこれをしたいといった行動について、一度紙に書いて「いつ」「どこで」「どのように」「だれが」「何を」「なぜ」といった5W1Hと、そのプロセスを誰が見ても同じ行動が出来る手順書を作るかのように作成します。
そして頭の中で反芻させて、何度もリハーサルさせれば実際に行動する時にすんなりと行動する事が出来るはずです。
フォースブレイク
これは、強制的に休憩を取りましょうと言うテクニックです。
私達が何か計画を立てたり、計画を実行したりする中で強制的に休憩ポイントを設けましょう。
2008年の研究では、食事を減らす試みとして、食事を容器ごとに分けると必然的に食事の量が減ったという面白い研究があります。
このように計画や資源を区分することで、全体工程に自然な休憩が課され、自動的に判断タイミングに遅れが生じるので、より深い処理が出来るようになります。
よく焦りや不安から休憩を取ることを忘れがちですが、こういうタイミングこそ積極的にとるのが最も効果があります。
例えば、損切りにあって不安や取り戻したい焦りからズルズルと引きずるようにトレードしてしまいますが、これに強制的に1時間とか切りのいい時間で休憩を取ってみて下さい。
また相場に向き合っている時間でも強制的に1時間休憩を取ることもお勧めします。
アクティブチョイス
これは複数の選択肢から積極的に選択するテクニックです。
自分の未来に対する重要な選択肢に直面した時に使えるテクニックで、何も考えずに流されて意思決定するのではなく、自分の意志で選択した方がバイアスにかかりずらいんですね。
簡単にいうと、どちらでもいいとディフォルト状態で意思決定するよりも、自分で選択した方が自分の理想的な判断の助けとなるんですよ。
2012年の研究では、処方薬使用者に対して通常フローの薬局にて購入するか、割引価格で自宅配達で受け取るかの2択でアクティブチョイスを義務化した場合と、義務化していない場合を比べると、義務化した方は自宅配達率が35%も向上したんですね。(Beshears、Choi、Laibson&Madrian、2012)
つまり、何も考えずに選択肢に迫られた時に無意識に受け入れたバイアスのある判断を招くことを防止するためのツールという訳です。
これは、私たちにとって認知負担となりかなり疲れるデバイアステクニックのため、自分にとって重要な意思決定をするときに最適です。



