どうも、give-keyです。
今回は、プライスアクションの3つの極意ということで解説していきたいと思います。
今回の参考文献はRAYNER. TEO氏からで「PRICE ACTION TRADING SECRETS」をメインに取り扱っていきます。
まず初めに、プライスアクションとは何ぞやという話なんですが、価格の動きに焦点をおいてトレードすることを指します。
価格の動きに焦点を当てると何が良いかというと、情報にラグがありません。
もっと言うと、自分のトレードが最適化されます。 例えば、皆さんが何かしらのインジケータを使ってトレードしていたとします。
このインジケータが表示した最適解でトレードする最大のデメリットって何かわかりますか?
そうです、「遅延」なんですね。
それもそのはず、インジケータと言うのはバックグラウンドで、何らかの式で計算してからの解なので、リアルタイムから遅延が発生してしまいます。
一方で、価格の動きというのは分単位、更に言うと秒単位で価格の動きというのを表示できます。
ここに、トレーダーの様々な思惑、思想、感情といった心理戦に必要な情報がわかるようになり、どのタイミングでエントリーし、どのタイミングで利益確定すればいいいのか分かるんですね。
このプライスアクションを知るまで私たちは、ただサポートやレジスタンスになりそうな水平線を引いてるだけでゆっくりと損失させていることに気づけていません。
自分なりに引いた水平線が簡単にブレイクして、損切りされた経験はありませんか?
これは引き方の問題では無く、そこに至るまでの過程や、水平線付近での価格の動きが影響しています。
ではプライスアクションを学ぶことで一番のメリットは何かと言いますと、 様々な相場や時間枠で収益性が高いトレードをすることができることです。
では、進んでいきましょう。
今回は基礎編となります。
参考文献
Rayner Teo.Price Action Trading Secrets
取引の自然法則
トレードの世界では、自然法則というのが存在するということをTEO氏は伝えています。
トレードをする上でこの自然法則を最低限意識しておかなければ、私たちがどれだけFXに時間をかけても勝率が全く向上せず、むしろ損失がゆっくり進行していくことが多いんですね。
自然法則は言わば、トレーダーとしての基礎的知識だと思ってください。
この自然法則は全部で9つあります。
これから一つずつ解説していきますのでチェックしてみて下さい。
1.一貫した一連の行動に従え
まずは、一貫した一連の行動に従えですが、重々伝えている通り、この一貫性というのは必須のようですね。
なぜ一貫性が必要かと言いますと、 利益を生めた時の自分の行動を一貫して継続していかないと、たまたまマグレで勝ったからかもしれないし、損失を出したときの行動に一貫していなかったら、どの行動が悪かったか分析出来ないからです。
例えば、ダイエットしていて体重60Kgまで落としたいとしますよね。
毎日朝起きて、トイレを済ませてからの体重測定を一貫して記録していけば、このタイミングが基準点となる訳です。
つまり、基準点を守り続けることでイレギュラーが暴露されやすく対策しやすいメリットがあります。
一方でこの基準点をある日は朝起きてから、ある日は朝ごはん食べ終わってから、またある日は寝る前とかに測ると体重が増減してしまい根本的にデーターに信頼性が無く、分析も対策も出来ないとなります。
よって、同じことを繰り返して見ることで、一貫した結果が得ることができるという事を意識しましょう。
ただし、トレードはこれに違う側面を持っています。
それは、「人間の感情が一貫性を崩す」です。
損失を出した時に、どんな気持ちになりますか?
恐らく取り戻したい、自分の分析が間違っているかもしれないと思うはずです。
これが、自分の一貫性を簡単に破壊する感情の悪魔という訳です。
具体的に言うと、
- 損失を認めたくないので、損切りラインをずらしたい
- 損失した分を取り返したいから倍のロットを張りたい
- この戦略は機能していないから、他の戦略を探したい
こういった感情、一度は経験あると思います。
しかし、この感情を持った時にどういった行動を起すかルール化しておくことで、感情の悪魔に振り回されずに一貫した行動を起すことが出来ます。
ここで重要なのは、私たち自身のルールがしっかりと定まっていないと一貫性を失くし、結果も一貫性を失うことを肝に銘じましょう。
2.優位性を持て
次は優位性を持つという事ですが、優位性というのは売買に偏りが発生していて、確率的にどちらの方向かが有利になっている相場局面を指します。
つまり理論上、自分のトレードに優位性を取り入れて戦略を練れば、勝率を上げる事が出来るという訳です。
ここで一貫した行動を取り続けてたら勝てるんじゃない?と思った方いると思うんですが、実はそれでは勝つことが出来ないんですね。
一貫した行動と、利益が生めることとでは別の話だからです。
理由を説明します。
コイントスに例えると、 一定の力で指で弾いて、片手の甲で受け取るとします。
これは一貫した行動ですよね。
では、コインが表なら皆さん100円貰えて、裏なら私に100円与えるゲームを上記の行動を取って進めたとします。
確率的に考えても、皆さんが利益を生めるとは言えないですよね。
なぜなら、表が出る確率と裏が出る確率はどちらも50%だからです。 つまり、一貫した行動を取ったところで、勝てる確率が50%であるなら収益性は無いことになります。
では、どうしたらいいか。
ここに優位性を持たせます。
具体的に言うと、コインが表立った時、つまり皆さんが勝ったときの利益を200円にします。
お互いに100円を場に出しておいて、買った方が総取り出来るルールに変更して、
裏だった時を100円与えるというルールのままで進めてみましょう。
常に利益は損失の2倍の金額なため、長期的にコイントスを続けることで、皆さんは勝率は50%にも関わらず利益を残すことが出来るのが直感でも分かるのではないでしょうか。
つまり、私たちが長期的に利益を生みたいのであれば、戦略に優位性を与えなくてはなりません。
3.大数の法則
3つ目は大数の法則になります。
結論から言いますが、先ほどのコイントスで引用すると、長期的には50%の確率に近づきます。(確率の収束と言います)
長期的にというのは、コイントスの試行回数が多い事と同義になります。
その反面、どの位の試行回数が必要かどうかは分からないんですね。
例えば、短期的に見て表が6回出たから次のコイントス時に裏の確率はどのくらいですか?という質問があったとします。
この答えは1/2です。
つまり、トレードでも損失が続いたから次は勝てるとか、勝ちが続いているからこの手法は間違いなく勝てる訳ではありません。
いつだってトレードした瞬間に1/2の確率で変動します。
対数の法則というのは、試行回数を∞の極限に取ることで結果に対してその割合に期待値が収束していくというものになります。
4.常に己を俯瞰せよ
ポール・チューダー・ジョーンズ氏の言葉にこういうものがあります。
「取引する上で最も重要なルールとは、最大の攻めをするのではなく、最大の守りをすることだ」
この言葉の意図は、強気に出たい気持ちを抑え、自分の行動をコントロールし、堅実的に進むことだと言います。
言い換えるならば、適切な資金管理をしなければ、いづれは破産を導いてしまうから、謙虚に戦略を立てようと言えるわけですね。
例えば、AさんとBさんの2人のトレーダーを比べてみます。
Aさんは性格的に積極的なトレーダーで、総資産の25%をリスクに晒してトレードするスタイル Bさんは性格的に保守的なトレーダーで、総資産の1%をリスクに晒してトレードするスタイル この二人のリスクリワード(損失と利益の比率)が1:2で、勝率も50%だとします。
この二人に合計8回トレードしてもらって、下記の結果となりました。
負け・負け・負け・負け・勝ち・勝ち・勝ち・勝ち
この条件をもとに二人の結果を比べます。
Aさんは、総資産の25%をリスクに晒しているので、4回目の取引で総資産を失くしました。
一方でBさんは、総資産の1%をリスクに晒しているので、-4%+8%=4%の収益がありました。
Bさんが利益を生めた要因は紛れもなく、晒しているリスクに対しての収益の割合が2倍だからです。
つまり、如何に最高の戦略を持ってたとしても、適切な資金管理をしないといつかは総資産を失うので、多大なリスクを負うようなタイプの性格だった場合、自分の行動をコントロールすれば長期的に利益に繋がるという事ですね。
5.お金を稼ぐためにはお金が必要
もう身も蓋もないような話ですが、説明します。
例えば、年間で総資産の20%を稼ぐことが出来たとします。
いい投資でも年利4%ですから、中々夢がある話ですよね。
ただし、実はここに一つ落とし穴があります。
それは、総資産額の規模です。
- 総資産額が100万円であれば、利益は20万円
- 総資産額が1000万円であれば、利益は200万円
- 総資産額が1億であれば、利益は2000万円
私たちが安定して20%の利益を出しても資産の規模によって変動してしまいます。
これを解決する方法は「利益を複利にする」です。
総資産額100万円の20%の利益を使わずに、翌年は総資産額120万円にして再度20%の利益を生むと、24万円になります。
物理学者アインシュタインも「福利は人類最大の発明」と語っていることから、お金はお金で稼いでくれているこの複利システムは使わないほうが損ですので、ぜひ活用していきましょう。
6.どこにも最高の戦略は存在しない
最高の戦略という事なんですが、勘違いしないで欲しいのは、最高と最良は全く違います。
最高の戦略とは本人の外側に形を求め、その形に嵌めて納得できたものが最高の戦略なだけで、他人からしたら、最低の戦略の可能性だってある訳です。
つまり、私たちが求めなくてはならないのは最高でも最低でもありません。 最良の戦略なんですね。
最良の戦略とは、その戦略に中身が伴っているかどうかになります。
要は、トレードする時に何を目的としてするかを知る必要があります。
例えば、 下落だけを狙う戦略を考えたなら、どんなアクションを相場が起こしたら優位性があるのか、 スキャルピングのように数pipsだけ狙う戦略にするにはどこを狙うべきなのか、 私たちがとる戦略によって求める目標は全然違います。
これは裁量トレードと同義になりますが、私たちがとる戦略の目標を達成するために最良の戦略は何なのか、そして最良の戦略を選択することが出来ます。
上手いことを言うつもりはありませんが、裁量性のある最良の戦略を私たちは必要としているわけです。
7.常に機能する戦略は存在しない
巷に色んな手法が存在しているのは、皆さんご存じの通りですが、なんでこんなにも沢山の手法があるか疑問に思ったことありますか?
もちろん、基本理論を独自のスタイルで確立されたトレーダーもいらっしゃいますし、古くからあるテクニカルツールを基本とした手法も存在します。
ですが、どれも常に機能している手法は存在しません。
例えば、 水平線トレード手法を得意としていて、損切りを前回の最安値・最高値付近においてトレードをしていたけど、一旦水平線をブレイクする動きが頻発しているなとか、 トレンドフォロー手法を得意としていても、トレンドブレイクしたと思ったらダブルトップ・ダブルボトムを形成して再度トレンドに乗ってきたとか、 基本的に戦略には相場の特定のパターンを狙って使うものが多いですが、なぜか機能しなくなるなんて経験ありませんか?
答えは単純で、「相場は一定ではないから」です。
戦略を相場の特定のパターンを狙うという事は、逆説的に相場は一定でなければ機能しないということです。
私たちはトレードしている相場というのは、上昇するか下降するか横ばいになるかの3つしかありません。
ただし、この3つのパターンはいつ始まるのかも崩れるのかも誰にも分からない以上、ちゃんと利益が残せるように最大の防御が必要です。
8.毎日利益を上げる秘訣
こんな事ありえるのかと声が聞こえてきそうですが、確立論的に存在します。
大数の法則でも説明しましたが、「取引回数を増やす」ことです。
しかしこれは現実的ではありません。
なぜなら、それに耐えうる資金と、タイミングが必須だからです。
言い換えるなら、確立を50%に近づかせるためにトレード回数を増やさないといけないことになります。
ただでさえ、損失に耐えうる資金もそうですが、精神的にも耐えられるか不安ですし、優位性のあるタイミングがそう何度も巡り合わすことも、取引回数を増やす目的のためにとなるとそう容易な話ではないですよね。
つまり何が言いたいかっていうと、私たちは毎日トレードして稼ぐことを期待しないほうがいいという訳です。
むしろ、四半期毎か、年単位で収益があればいいと考えた方が現実的ですよね。
9.トレードは一攫千金を狙うものではない
よくFXを始める方に多いのが、大きくかけて一発当てたいとか夢を持った方々が参加しているのをよく見ます。
確かに一回の取引で一攫千金になれるチャンスはあります。
しかし、そう思ってトレードする人ほど総資産をいち早く失って退場していきます。
FXは投資ではなく投機に近いですが、だからこそ時間はかかってもリスクを最小限にして、定期的に資金を増やしていくべきなんですよね。
欲望ははっきりいって身を滅ぼします。
その位の影響をもったトレードをしている自覚がないと、安定して稼ぐことが出来ないということですね。
プライスアクションの4つの基本
さて、ここからはプライスアクションを学ぶにあたって基礎となる部分を解説します。
私たちがいつも目にしているチャートの方向っていうのは何を基に決めているのでしょうか。
結論から言うと、「買う量と売る量の比率」です。
買い圧力や売り圧力と表現されます。
つまり、買い手と売り手の数の比率がチャートの方向性を決めている訳ではないんですね。
例えば、買い手が100人いて1人当たり1lot保有したとします。
これで、トータル100lot分の買い勢力になりました。
一方で、売り手が2人で1人当たり100lot保有したとします。
このトータルはいくらでしょうか。
結局、人の数の問題ではなく、保有する量によって左右されることが分かります。
プライスアクションというのは、この買い圧力と売り圧力の不均衡を理解して、エントリーとイグジットのタイミングを改善し、今より良い取引結果を得るための方法といえます。
その方法を理解するための4つの基本をこれから解説していきます。
1.価格が全てである
投資家たちが何を重要視しているかと言うと、その銘柄、通貨ペアの価値は現在示している価格が適正かどうかを見ています。
その投資先のこれからの未来に何らかの行動を起こすのが投資の本質であって、これから価値が上がることを見越して先行投資したりしていますよね。
これから価値が高まる予想をして、価格が安い時に大量に株を購入したり、高いlotを張っておいて価値が高まって価格が上昇したその差額で利益を生んでいます。
例えば、ファンダメンタル要素によってその銘柄や、通貨に対して悪い材料が流れるとほとんどの投資家は損失回避バイアスによって売りに転じます。
そうする事で一時的にチャートが急下落していきますよね。
ですが、プロの投資家はあくまでも価値に対する価格を見ているので、むしろ安く買えるチャンスになるという事です。
要は、投資家にとって悪い材料が出たとしても安く買いたい投資家がいればおのずと上昇していくという訳です。
2.価格は相場に対する客観的な視点を与える
チャートを分析するのに、沢山のオシレーターが存在しますよね。
それこそMACDやRSI、そしてRCIといったものまで。 これらに最大の共通点が存在するの気づいてますか?
それはオシレーターのバックグラウンドで計算していることに他なりません。
そして、その計算式に入力する値は私たちで変える事が出来るという点です。
この入力する値は人にとって千差万別ですよね。
RSIで説明しましょう。
これは、現在のチャートが買われすぎか売られすぎかを表じさせるスキャルピングするなら活用できるオシレータになります。
有名なオシレーターですので、かなり愛用されていると思います。
実際、私も使ったことがありますので分かるのですが、「期間」を入力する際に迷われませんでしたか? どんな数字が機能するのか分からないって方いらっしゃると思います。
何が言いたいかというと、設定する値によってか違った分析を引き起こしやすいデメリットが存在するんです。
RSIで言えば、設定した値で表示させたら現在買われすぎだと示したから売りポジションを持ったら更に上昇していったりと、入力する値によって左右させられます。
では、価格はどうかと言いますと、式を当てはめることもオシレーターを操作することもなく売り買いの攻防が遅延なしで表示されているんですね。
これが、相場に対する客観的な視点を与えてくれる所以になります。
3.エントリーとイグジットのタイミング適切化
先ほども説明しましたが、オシレーターは計算式を使うためその分そうしても「遅延」が発生します。
この「遅延」って、かなりの影響を与える物で、 例えばオシレーターが買いだと示してくれるまでに、過去のチャートや、未来のチャートを計算式に組み込むまでタイムラグが発生しています。
そしてようやく買いだと示しだした頃にはエントリーのタイミングを逃しているんですね。 イグジットに関しても同じことが言えて、こっちの方が質が悪かったりします。
実際のプライスアクションを見てみると、あるレジスタンスやサポートに何度も反応しているのを見ていてもオシレーターはイグジットのタイミングを瞬間的には教えてくれません。
そういった理由から「遅延」というのは投資家にとって致命的になりかねないものなんですね。
一方で価格には「遅延」は存在しないとお話ししました。
私たちがプライスアクション活用すべきメリットとして、エントリーとエグジットのタイミングを図る最良の方法で、素早く反応できることです。
4.どんな相場でもフレームワークを持つ
フレームワークというのは、共通して用いることが出来る考え方、意思決定、分析、問題解決、戦略立案などの枠組みを指します。
例えば、皆さんが家を建てるときにランダムに部屋を決めたりしますか? 必ず家の中のレイアウトや、デザインを考慮したり、人の動線を意識して部屋の位置や規模を決めている筈です。
玄関から入っていきなりお風呂場の部屋に入れるような間取りにはしないですよね。
トレードでも同じ事が言えます。
いつエントリーするか、いつイグジットするかいったフレームワークを持つことが重要になります。
ある一定のフレームワークを自身なりに確立しておくことで、どんな相場にも対応することが出来ますし、相場が変化すればそれに準じてフレームワークを変化させる必要があります。
プライスアクションの欠点
どんな事でも利点があるように、必ず欠点が存在します。
私たちは利点に目を向けがちですが、欠点にも目を向けてこその真の理解となるので、その辺りを解説していこうと思います。
例えば、とある手法の効果を検証するという点で言っても、このプライスアクションの手法も自分なりに検証する必要がありますが、その有効性に乏しいといった特徴を持っていたりとか、その検証にかなりの時間を必要としたり、これが一番の欠点とも言えるもので、幅広い見方が存在するというものです。
それでは、一つ一つ解説していきます。
1.正確な過去検証が出来ない
トレーダーに必ず必要とされる検証方法として、「過去検証」というものがあります。
過去のチャートというのは、投資家たちの感情や、思惑といった投資家心理を如実に物語っています。
その投資家の心理背景を基に、私たちの戦略の優位性を確認するためにエントリーとイグジットをデモトレードで繰り返して確認することが過去検証なんですね。
実は、ここに罠があります。
この過去検証というアプローチは、私たちのバイアスを高めています。
バイアスって何?という方は、
で調べる事が出来ますので、チェックしてみて下さい。
例えば、過去チャートがずっと上昇トレンドだった場合、これからの未来も上昇トレンドが続くだろうと先入観を植え付けられる可能性があり、実際に買いポジションを保有しがちになります。
つまり、過去から現在を見てしまい、これから起きるであろうチャートの動きが偏見によって、正確な分析が出来なくなるんですね。
更にこの検証を記録している場合は、この記録すらも信憑性がバイアスによって失われ、振り返ってもなんの意味を持たない記録となってしまいます。
2.戦略の検証には時間がかかる
一つ目の欠点で、過去検証には私たちの分析を邪魔するバイアスが潜んでいるということを解説しましたが、これには代替案があります。
それは「未来検証」です。 つまり、これから起きようとする未来に対して、自分の分析がどのように機能するかをリアルタイムで分析する方法です。
実際これは、かなり有効的な検証方法で、これから上昇するか下降するかのどっちの優位性が高いか、分析しなくてはなりません。
その今の瞬間に、下がるか上がるか誰にも分からないからこそ、確率的にどっちの方向に行きやすいか様々な分析を行って勝率を上げていく検証になります。
ただし、未来に対しての検証はまだ見ぬ未来への優位性を確認するためにサンプルを多く必要とします。
デイトレーダーなら数か月、スウィングトレーダーなら数年と言われています。
3.主観性の影響が大きい
人の感じ方は千差万別ですので、一つの物事に対して数多の捉え方が存在しています。
分かりやすい例で言えば、「大丈夫です」の意味って、「問題ありません」の意味だったり、「結構です」といった意味が状況によって変わりますよね。
このように、相手の環境や、考え方、相手との関係性などで容易く意味が変遷するんですね。
これは実はプライスアクショントレードをするにあたって良くも悪くもかなり影響を与えます。
これはテクニカル分析を主とする投資家に当てはまることですが、裁量トレードだからなんですね。
同じチャートを見てても1人1人、捉え方・見え方は違います。
短期足でみても、細かい波形を見ている投資家もいれば、大枠で波形を見ている投資家もいます。
結局、自分の経験則(利用可能性ヒューリスティックと言います)や、認知バイアスを基にしてます。
この主観性という視野が狭い状態になってしまうと、私たちは利益を残し続ける事が困難になっていきますので、最小限に抑える必要があります。 それが、フレームワークを持つ重要性に繋がるんですね。
相場構造を把握する4つの段階
チャートが上昇トレンドだったのに急に下落してきたり、下降トレンドが継続したと思ったら今度は急に反転してきたり、この相場構造を理解できていないと、かなり悩ませてきます。
相場構造は、
で詳しく解説しているので、今回はあっさり目に解説していきます。
1.アキュームレーション・ステージ

アキュームレーション・ステージは「蓄積段階」と呼ばれます。
価格の下落後に発生するレンジ相場になります。
これは、下降トレンド継続すると期待しているトレーダーと、最安値を狙って買っているトレーダーとの衝突によってレンジ相場を形成させます。
特徴として、
- 日足で見た過去5カ月間以上下落した後に発生しやすい
- 下降トレンド内で明らかなサポートとレジスタンスの領域があるレンジ相場に見える
- 200日MAが横ばいになり、価格はその辺りを上下する
アキュームレーション・ステージだからと言って上昇するとは限らず、下にブレイクしたら更に下降トレンドが継続しますので、注意が必要です。
アドバンシング・ステージ

アドバンシング・ステージは「前進段階」と呼ばれます。
アキュームレーション・ステージによって発生させたレンジ相場内では留める事が出来ない場合に起きます。
言い換えるなら、売り手と買い手のバランスが崩れたことを指しています。
このステージでは、買い手は売り圧力に打ち勝つ必要があるため、レンジ相場周りに溜まっている売り手の損切りラインを刈っていく動きを見せます。
特徴として、
- 価格がアキュームレーション・ステージを抜け出した後に発生
- 高値と安値をそれぞれ更新する
- 200日MAを上回り、200日MAも上昇
ディストリビューション・ステージ

ディストリビューション・ステージは「配布段階」と呼ばれます。
価格の上昇後に発生するレンジ相場になります。
上昇トレンド継続を期待しているトレーダーと、最高値で売るトレーダーが表れて衝突する局面になります。
今後の低価格に移行することを見越して、買いポジションを手放して売りポジションを保有する分配を行うことから「配布段階」と呼ばれています。
特徴として、
- 価格が日足で見た過去5カ月以上上昇した後に発生
- 上昇トレンド中に明らかなサポートと、レジスタンスを持つレンジ相場に見える
- 価格は200日MAの辺りを上下する
相場がサポートをブレイクする保証はないですが、それを下回った際は次の段階に移行します。
ディクライニング・ステージ

ディクライニング・ステージは「衰退段階」と呼ばれます。
このステージに移行するには、売り圧力が買い圧力を、克服する必要があります。
上昇トレンドというのは、中々継続期間が長い傾向にあるので、その長い期間をかなりの圧力で押し下げないといけません。
下降というのは、人間のネガティブな感情が含まれているので急下落しますが、押し目を付けないので上位足の意識される領域に入った時に、急反転することもあります。
特徴として、
- 価格がディストリビューション・ステージでサポートをブレイクした後に発生
- 高値と安値を更新
- 200日MAを下回り、200日MAも下降していく
これらの4つの段階を学ぶにあたって
この4つの段階を明確に分けている理由は、買い手と売り手の優位性がどちらにあるかを知るためにあります。
例えば、アキュームレーション・ステージが発生していて、ある時レジスタンスとなるレンジ上限をブレイクしていることが確定に変わった時、買いポジションを保有するタイミングを探します。
タイミングの例としては、下位足に落としてのサポート付近だったり、レジスタンスのブレイクアウト飛び乗りや、アキュームレーション・ステージが見られる足のレンジ上限ブレイクアウトのリターンムーブなどが挙げられます。

ディストリビューション・ステージならその逆で考えればいい訳です。
レンジ下限をブレイクしていることが確定に変わったら、売りポジションを保有するタイミングを探せばいいんです。
では、どちらか分からない時はどうするの?という事ですが、その段階は「取引しない」というルールにすればいいだけですよね。
まとめ
今回はプライスアクションの基礎編という事で、3つ紹介しました。
先ずは、自然界の原理原則というものを理解しましょうといったお話をしました。
箇条書きにすると、
- 感情によって一貫性を一気に失わせる感情トレードは破滅を呼ぶので、自分なりのルールを徹底させて一貫した行動を行えば一貫した結果が伴う
- 一貫性を身に着けたところで利益には繋がらないから、その戦略に優位性を持たせる
- 短期的にはランダムだが、長期的に見た時に期待値に近づく大数の法則が存在する
- 如何に勝率の高い手法を持っていたとしても、ギャンブル感覚でトレードしていたらいつかは総資産をなくすので、常に自分自身を俯瞰して謙虚なトレード姿勢を確立させる
- お金を稼ぐためにはお金が必要で、大きいお金を稼ぐためには他人のお金を借りて運用するか、複利を活用する
- 最高の戦略は自己満であり、トレード自体になんの目標をもって取引するかの方が重要
- 相場は常に変動しているので、戦略に依存せずにちゃんと利益を残せるかといった最大の防御を考える
- 毎日のスパンでお金を稼ぐことにフォーカスしないで、四半期又は年単位で稼ぐように考える
- FXはリスクを最小にして、時間をかけて定期的に資金を増やしていくゲーム
といった9つの法則がありました。 次にプライスアクションの4つの基本として、
- 価格が最も信憑性が高い指数になる
- 純粋な価格変動なので、主観的観測は含まれない
- 取引のタイミングを最適化する
- 相場状況に対応したフレームワークを確立させる
更に分析の有効性に難があったり、個人的なバイアスなどで分析に正確性を持てなかったりするといった欠点もありましたよね。
最後に相場の構造を理解するといった内容で、大まかに4つの段階に分けられるよといった内容でした。
- アキュームレーション・ステージは下降トレンドの反転に見られる売り手と買い手のレンジ相場
- アドバンシング・ステージは、買い手が売り手を上回ってキレイに上昇していく相場
- ディストリビューション・ステージは上昇トレンドの反転に見られる買い手と売り手のレンジ相場
- ディクライニング・ステージは売り手が買い手を克服して急下降していく相場
となります。
いかがだったでしょうか。
プライスアクション手法は、何といってもラグがなく、トレーダーの情報がぎっしり詰まっています。
その情報をうまく分析すれば、先行的に大きな流れに乗っていけるようになるし、少し反転シグナルの傾向が出てくると、大損失する前に利益をしっかり残すことが出来ます。
今回は「基礎編」という事で、次は「分析・管理編」、最後に「戦略編」に分けて解説していきますので、お楽しみに。
それでは次の記事で会いましょう。
それでは。



