どうもgive-keyです。
前回はNVCの全体像を紹介しました。
今回の記事では、実際にこのNVCテクニックを自分の物にするための8つのエクササイズを紹介していきます。
NVCを学んでいないとう方は下のリンクで紹介していますので、NVCとは何ぞやという部分を解消してからこのエクササイズを実践してもらうことをオススメします。
参考文献
最初の4つは参考文献にもあるテクニックで、簡単に取り組めるテクニックの構成になっています。
そして、残りの4つのテクニックは自分の感情を細分化してチェックポイントを設けているテクニックとなっていて、最初の4つより効果が高いテクニックの順で紹介していきます。
観測すること
まず一つ目は「観測すること」です。
何を観測するかこれから説明します。
これはまさにこれは自分の言葉と相手からの言葉を観測するテクニックです。
寝る前に心の中に浮かんだ自分が自分に対しての批判と、相手が自分に対しての批判を思い出してください。
なんで寝る前なのと思う方もいるかと思いますが、この時間帯に意味があります。
嫌なことを寝る前に考えると記憶してしまう習性を利用しているからです。
記憶に残した状態で、次のステップが「書き換え」になります。
「上司が会議中に遠回しに仕事ができないという発言を自分に向けてきた」
「なんで自分はこんなに仕事ができないんだろう」
例えばこういった内容が心の中で浮かんだとします。
そのあとで、客観的な目線に書き換えてみてください。
「上司が会議中に傷つける言葉を使用しないで自分の目をまっすぐ見ながら発言してきた」
「仕事ができないと思ったのは、自分のプレゼンに対して上司が自分に意見を伝えてきたからだ。その背景として徹夜で作った、やっとの思いで作成した資料だったから努力が報われないと感じたからだ」
自分がイライラするのは相手の行動に対してではなく、自分がどう感じたかにイライラしているんですね。
これは、その元となる主観を徹底的に抜いた客観的事実のみに抽出してあげることで、コントロールすることができます。
他者観察
自分に関与しない他人を5分間観察するなかで、どんなことを考えているかを思考するというテクニックです。
その思考した議題に対して事実と評価に分けてみてください。
一例として恐らくこんな議題が出てくると思います。
「あの人忙しそうにしてるけど、遅刻しそうなのかな」
「あの人ずっと下向いて歩いてるけど、疲れているのかな、それとも嫌なことあったのかな」
実は、これは事実ではなくあなたの評価に過ぎないことに気づきませんか?
事実観測はこうです
「あの人はキョロキョロ目配せしながら、行動している」
「あの人は頭を下に向けた状態で前に歩いている」
あくまでも「忙しそう」「疲れている」「嫌なことあった」は評価なんですね。
実際忙しいのではなくて、せっかちな人かもしれませんし、疲れているのではなくそういう姿勢で歩いているかもしれません。
真実がわからない評価でたくさんの捉え方ができるっていう事実を知るテクニックになります。
ゴシップ・アテンション
誰かの噂話に心を惹かれたり、注意を向けたときのことを思い出してください。
もちろん、自分に対する噂話も含めます。
チェック方法はこちらです。
1)それはどのような噂だっただろうか
2)その噂話を思い出したときに今どんな気持ちになったか
3)その時にどういう感情を満たしたくてその噂話に惹かれただろうか
なぜ人は噂話に惹かれるかと言いますと、自分のネガティブな部分だったり自分にとって都合の悪い部分を正当化したいからなんです。
そうする事で、脳の報酬系が活性化し幸せを感じるようになるからなんです。
裏を返せば、このゴシップチェックを行うことによって、自分の欲望や、解消しきれていないネガティブな部分が見えてくるんですね。
ゆえに自分を客観的にネガティブな部分を把握しておくことで暴力的な言葉だったりを発言しないようにコントロールすることができます。
イリテーション・パラフレーズ
これは誰かにイライラして発言してしまった内容を思い出して丁寧な言葉に修正して、言い直すテクニックです。
イリテーションとは「イライラする」という意味で、人は自分の周りに起きている状況や、思い通りにいかない時に生じる心の不快感を言いますが、
勿論、外部的影響によるストレスや、睡眠不足からもそういった心理状態に陥ることはあります。
ですが、そういった心理状態でコミュニケーションを取ろうとしても上手くいかないのはこのNVCを学んでいるのなら分かるはずです。
例えば、中々寝ない子供に対してよくある内容がこちらです。
「どうしていつも寝てくれないの?」
「夜遅くまで起きてないで寝なさい!」
文章から分かる通り自分のイライラが乗った発言ですよね。
これをイリテーションを使って修正します。
「睡眠は体にとって必要なことだって伝えてるのに、中々寝てくれないから気になってしまう。心配の気持ちが強くて、早く寝ないと体を壊してしまうことがあるかもしれない、という感情が湧いてきてしまうからイライラしてしまう。」
といったイライラした内容を相手をいたわる気持ちに置き換えて、その言葉の背景にある感情を丁寧に説明することが大事です。
どうしても人は怒ると短文化しやすいので、そういった動機を端折る傾向にあります。
そうならないように意識しましょう。
ネガティブ感情チェック
これまでテクニックを紹介してきましたが、そもそも感情的に発言したことに対してしっかりと理解していないことが多いです。
皆さんこんな経験をしたことありませんか?
「大好きだった人と喧嘩して分かれてしまったけど、今になってなんであんなこと言ってしまったんだろう。」
「今ならもっと寄り添える形で話せたのに。」
この結末の最大の問題は何でしょうか。
これは自分の言葉が相手に誤解を与えてしまった可能性もありますが、一番の理由は自分の感情を歪めてしまっているからです。
ここで一つ質問をします。
あなたはどうでもいい人に対してイライラするでしょうか?
恐らく一過性の感情はあれど、他人だから別にいいやと解決できるレベルではないでしょうか。
逆に言えば、自分のことを理解してほしい、感情を理解してほしい人って自分にとって大事な人ですよね。
理解してほしい、大事にしたいがゆえに、それがネガティブな感情に晒されると段々と怒りに変わります。
自分では理解できないくらいにネガティブに歪められた感情を感じたときは、これは改善できると考えることが必要です。
では、ここからはそのネガティブ感情のチェック方法を紹介します。
観察
ネガティブな感情を観察したときは、その瞬間を記録するようにしましょう。
なぜなら、人の記憶は簡単に歪んでしまうということが分かっているからです。
つまり、人の記憶なんてものは法的な証拠になりえない理由がここにあるんですね。
だからと言って、退行催眠等でカウンセリングを受けたときに、カウンセラーの質問の質で記憶が改ざんされたり、更に強めたりします。
ネガティブな記憶を強める作用がどう影響与えるかと言いますと、相手のネガティブな部分とかに目を向け続けると敵意に変わっていくんですね。
例えば、あなたが上司に強めの指摘を受けたとします。
あなたは、この出来事を反芻していくにつれてこんな思考に歪みます。
「あの人は自分の足を引っ張ろうと躍起になってるにちがいない。」
冷静に考えてみてください。
毎日、あなたの足を引っ張ることだけを考える上司なんているでしょうか?
きっと、その上司もそんなに暇ではないですし、楽しいことだって考えるはずです。
ここで何が言いたいかというと、ネガティブな感情を強めてしまう事で、真実が見えなくなり、被害者妄想が加速する結果、自分を陥れようとしているといった短絡的な思考に変質してしまうという怖さを持っている事なんです。
感情表現
上記のような状況になった時に、相手がやったこと、言ったこと、感じたことを分離して、客観的に説明出来るように観察して記録しましょう。
例えば、
「上司から強めの指摘を受けたことによって、私は攻撃を受けていると感じた」
「その指摘内容に関わらず、私は上司の心理状況を検索し、攻撃するという事は私に対して何かしらの敵意を含んでいるのではないかと推測していて恐怖を感じた」
このように相手の行動を客観的に説明して、自分がどう感じているのかを説明するような感覚です。
リクエスト
感情表現で記録した、自分の感情を感じた背景にはどのような理由があるのか、どんなリクエストがあるのかを客観的に説明します。
「自分の足を引っ張ろうとしているにちがいない。」
と、感じたその背景はどんな理由があるのか客観的に見つめなおすんですね。
今回の内容で言えば、
「強めの指摘が批判されているように感じた、自分の努力が報われないように感じた」
というような理由があって、
「指摘するのはいいけど、今までの努力を認めてほしい」
がリクエストですよね。
つまり、人はその感情の背景にある理由をちゃんと見ていかないと、
「足を引っ張ろうとしているに違いない」
という先入観に囚われることになります。
電話トレーニング
電話で感情的になって誤解させた経験はありませんか?
このテクニックは電話をかける前に注意するポイントが2つありますので、紹介します。
1)その相手に自分は何を求めているのか、何をしてほしいのか
2)相手がこちらの欲求を満たすためには相手にどういうことを言えばいいのか
この2つを意識するだけで相手にイライラしなくなったり感情を押し付けなくなるのでぜひ試してみてください。
大体の人は、相手のリクエストだったり、感情を満たすことを考えているのではなくて、自分の感情を満たそうとします。
私たちは感情の生き物なので、やってほしいことがあってもその内容を伝えているのではなく、同じ気持ちになってほしいという感情をぶつけてしまいます。
さらにネガティブな感情に左右されやすい生き物でもありますので、強い感情を強い感情で返してしまいます。
なので、自分のリクエストをやってもらうためには、どうするかを思考する必要があるんですね。
ですが、自分の気持ちを分かってほしいという気持ちはどうしても出てきます。
絶対にやってはいけないことは、
「相手に共感を求める」
ことです。
なぜなら、相手に共感を求めると自分に甘くなるからです。
「言わなくても分かってくれるだろう」
「感情を伝えても背景にあるニーズも理解してくれるだろう」
と相手に期待を抱いてしまうんですよね。
その期待も虚しく裏切られることは目に見えてます。
よって、裏切られたという負の感情が結局、人間関係を崩壊させます。
相手の感情を満たすのでは無くて、あくまでの相手の要求、ニーズがなんなのかを理解した上でそれを満たしてあげるようにしましょう。
他者不満解析
コミュニケーションの中で、どうしても自分のニーズを表現しなければならない場面があります
そういった場面で、自分のリクエストがうまくいかなかったときのことを思い出して、そのリクエスト方法を修正していくときに使うテクニックを紹介します。
以下の4つのポイントを使って頭の中で想像してみてください。
1)その時に相手にどんなリクエストをしたか
2)そのリクエストは具体的で明確に表現されていたか
3)そのリクエストはポジティブな動作で表現されていたか(代替案の提示ができていた か)
4)上記の3つが出来ていないときは修正案を作る
詳しく説明します。
過去の自分の発言のなかで、リクエストした内容を頭の中で浮かべてみてください。
そのリクエストは相手にちゃんと伝わらなかったり、反感を買ったり、話が拗れたりなどのうまくいかなかったリクエストを選びます。
次に、そのリクエストの構成が相手にとって具体的で明確にされていたかを考えてみてください。
新商品のセールスでうまくいかなかったときはその商品を具体的に説明できていなかったり、メリット・デメリットを明確に説明していなかったりしている可能性があります。
「Aという商品を是非お勧めしたいのですが、このAという商品はこういったメリットがありまして、、、」
『メリットは理解できたけど、デメリットはあるのかな?』
「デメリットは、、、ございません」
『嘘くさいからいいや』
自分が理解していても伝わらないことがあるのに、自分すらも理解していない状態で相手に伝わるわけがないですよね。
では次に具体的に明確に説明できたとして、その動作にポジティブが含まれているかをチェックします。
言い換えるなら、代替案をちゃんと提示しているかをチェックしましょう。
例えば、Aという返答にネガティブな要素が盛り込まれました。
それに対して
「Aという内容は確かに内包しているかもしれない、ただし、Aの一部をBという考えに変えたらもっとよくなるとは思いませんか?」
などというポジティブな代替案が提供できていたかを考えることをオススメします。
「Aという商品をオススメする理由を聞いてからでのご判断でいいので、傾聴頂けたらと思います。
Aという商品は他社の商品と類似する所は実は沢山ございますが、この〇〇という機能はどの会社よりも優れています。
特にこの場面とこの場面においては当社データから見ても類を見ない効果を発揮しているのが分かるかと思います。
ただ、どうしてもこの場面においてはあまり効果を発揮する事が出来ず、またこの場面は日常生活においても頻出する場面と我々にとっては痛手となります。
しかし、このデメリットは実は科学的に立証されておらず、デメリットかどうかも分からないというのが実情です。
この場面において有益なデータを出した他社製品Bと今回おススメするAという商品を比べてみると、この場面の比較を覗いた部分で見れば、他の機能は十分かと。
これが我が社の商品をオススメする理由なのですが、如何でしょうか。」
あなたのリクエストが具体的でもなく、明確さを表現しておらず、代替案を提示していなかったときは、修正案を作ってみましょう。
NVC バディ
自分が信頼できる人を選び、アサーティブコミュニケーションをしてみるテクニックです。
勿論、恋人や夫婦間、家族でも全然問題ありません。
基本的に普段の会話をしてもらっていいんですが、会話するとすぐに喧嘩してしまう、相手を怒らせてしまうといった悩みを持つ方に効果的です。
始めはアサーティブな関係を作ることに専念してもいいのですが、以下の構文をつかってコミュニケーションしてみても効果があるので試してみて下さい。
1)あなたからそういう話を聞くと私は〇〇という感情を抱きます。
2)なぜなら理由は自分の感情が〇〇で満たされていないからです。
3)リクエストは〇〇して欲しいからです。
先ずは、口論になりそうになった時は、客観的に自分の感情と向き合って、その感情を素直に伝えます。
「他の人と自分を比べられると、私は惨めで、悔しい、苦しくて泣き出したい感情に駆られるよ」
次に、自分のその感情のルーツとなるニーズを表現します。
「そうやって比べられると、自分は君にとって一番の理解者であり、救世主でありたいのに比べられる程度、その辺にいるような石ころのような扱いだと感じてしまい、必要とされていたいという感情が満たされないからだ」
そして最後に自分のリクエストを丁寧に伝えましょう。
「私は、あなたに必要とされたいし、なんでも一番に頼って欲しいから、他の人と比べないで」
恋人や夫婦間でかなり使えるテクニックなので、この関係をディフォルトで築くとより良いコミュニケーションがとれるようになります。



