どうもgive-keyです。
1957年から愛用されている生産性アップ術といえば「ブレインストーミング」です。
よく巷では「ブレスト」なんて呼ばれてたりもしますが、これは会議におけるアイデア手法の一つで
- 出来る限り膨大なアイデアを出す
- 相手の意見に批判や判断をしない
- ユニークなアイデアを尊ぶ
- それらを結合させて洗練させる
この4つの基本ルールを遵守し、様々なアイデアを出していく手法なんですが、この効果の歌い文句は50%以上も創造性が高まると考えられています。
ですが、実はこの「ブレインストーミング」は50%以上も創造性が高まるところか、逆に創造性が下がることが分かっています。
あなたの会社でブレストをする度に無駄な時間をただ過ごしていることになるんですね。
ここからは、なぜ従来のブレインストーミングでは効果がないのか、そして科学的に証明された本当のブレインストーミング方法をご紹介していきます。
さらには、ブレインストーミング以外での創造性を上げる方法を紹介していきますので、お楽しみに。
参考文献
Wilson, Elizabeth Ruth(2014).Creativity and negotiation research: The integrative potential.
Paul B Paulus (2015).Asynchronous Brainstorming in an Industrial Setting: Exploratory Studies
Leigh Thompson(2017).Research: For Better Brainstorming, Tell an Embarrassing Story
Nathan Bomey.Forget brainstorming. Try brainwriting.
ウォーレン・バーガー(2016).Q思考――シンプルな問いで本質をつかむ思考法
ブレインストーミングは創造性が下がる
1991年に約800チームを対象にブレインストーミングチームにおける生産性の低下に関する先行研究のメタ分析結果によれば、その質と量の両方の観点から見ても
一般的にブレインストーミングチームは、その他のチームよりも生産性が大幅に低くなることが分かりました。
更に言えば、そのグループの規模が大きくなればなるほど、生産性の質と量は低下することも分かりました。
つまるところ、大勢でブレインストーミングするくらいなら、個人で考えた方がオリジナリティの高い良質なアイデアが出る
という結果になります。
なぜこんな結末になったかと言いますと、研究者曰く
生産性のロスを生じる3つの効果に分類できたそうなんですね。
プロシージャル・メカニズム
過程メカニズムと呼ばれていて、一定数の発言者、進行役といったパフォーマーに与えられているタスク時間を中断、分担させるといった時間的妨害を言います。
プロダクション・ブロッキング
Lamm& Trommsdorf,(1973)によれば、集団の相互作用の影響で、他者によって思考が中断させられたり、時間が制限されることで生産性が低下することです。
よく、ワンマンな意見をいう人とか、本質から逸脱した全く関係ない内容を展開する人とかは、周りの生産性を中断させているんですよね。
ソーシャル・サイコロジカル・メカニズム
これは社会的心理メカニズムと言って、他者の存在や、集団の影響によって個々のモチベーションや、注意力を左右するメカニズムです。
意欲覚醒
これは、Geen &Bushman,(1987); Zajonc,(1965)の研究で、個人の内的な刺激や外部の刺激が、個人の興奮や活性化を高め、その結果、行動の変化やパフォーマンスに影響を与えるという視点です。
つまり、会議中の他人の刺激(参加の意欲の欠如や、熱弁を展開しすぎる)によって影響を受けてモチベーションが低下する可能性を示唆しているという訳ですね。
自己注意
Carver & Scheier, (1981);Mullen,(1983, 1987); Mullen & Baumeister, (1987)らは、自己注意が行動や意思決定に与える影響の研究を行い、自己注意が個人の行動やパフォーマンスに影響を与え、自己の目標に向かってより効果的に行動するのに役立つことを示唆しています。
これは、会議に集中することよりも自分の仕事や、会議の後の事を考えることを優先しているために、発言もしないただいるだけの非生産性人間と化します。
エコノミック・メカニズム
経済的メカニズムは、動機づけられた意図的な努力の撤退を表します。
ソーシャル・ローフィング
Latank, Williams, & Harkins, (1979)の研究では、集団内での個人の努力や貢献が低下する現象を指します。
つまり、個人がグループの一員であるときに、個々の責任感や努力が減少することを意味します。
一般的な理由としては、個人が自分の貢献が個人的に認識されにくい場合や、他のメンバーによって行われると期待される場合に、貢献意欲が低下することが挙げられます。
よくあるのが、誰かが発言してくれるから自分はいいや、発言したところで面倒くさいし、といった感情ですよね。
フリーライド
Kerr & Bruun, (1983)の研究によると、個人が他の人の努力や貢献に依存して、自分の貢献を最小限に抑えることを指します。
つまり、個人が他の人の努力に依存して自分の利益を得ようとする行動です。
要は、相手の意見やプロジェクトに飛び乗りしていかにも参加しています!このプロジェクトには関わっています!といった雰囲気を出す人ですね。
相手の努力にただ乗りして参加している風を醸し出すタイプです。
以上3つの効果を紹介しましたが、最近の研究で「プロシージャル・メカニズム」が最も生産性の低下に強く関与していると主張しています。
従来のブレインストーミングで創造性を上げる方法
昔から愛用されているブレインストーミングが実は効果がないなんて言われても、今更・・・
って方もいるかと思うので、ここでは従来のブレインストーミングで創造性を上げるにはどうしたらいいかを紹介します。
それは
ブレインストーミング前に、過去6か月以内に自分の身に起きた恥ずかしい体験談を思い出す
というもの。
ある研究では、過去6か月間で恥ずかしい思いをした経験を述べてもらったAグループと、過去の栄光経験を述べてもらったBグループに分けて、「ペーパークリップの新しい使い方」について10分間考えるように指示しました。
その結果、
恥ずかしい体験を述べたAグループは、過去の栄光体験を述べたBグループよりも
- アイデアの量が約35%増加
- アイデアのレパートリーが約22%増加
したんですね。
更に2番目の研究として、グループ内でどのように発現するか調査しました。
さまざまな業種・企業のマネジャー93人を3人のチームに振り分け、2つの異なる「自己紹介」と「ウォームアップ」を行うように指示し、前回の実験と同じで、2つのグループに分け、恥ずかしい体験を述べるグループと、成功体験を述べるグループに分けました。
その10分後にブレインストーミングを実施してもらい「段ボールのユニークな活用法」を10分間で可能な限り考えてもらった。
その結果、
恥ずかしい体験を述べたAグループは、過去の栄光体験を述べたBグループよりも
- アイデアの量が26%増加
- アイデアのレパートリーが15%増加
となりました。
この結果に研究者はこう補足しています。
「恥ずかしい記憶」というのは、見栄やプライドといった心理的防御を取り払う効果があり、プロダクション・ブロッキングが抑制されると言います。
実際の会議で、恥を忍んで自虐ネタを切り出すのが有力候補となるわけですが、中々厳しい所もあるかと思います。
ただ、そうした結果よりクリエイティブなアイデアが生まれやすくなるのは間違いなさそうなので、
最初に出来るとするなら「知らない事を知らないと伝える」とかでもいいのではないでしょうか。
良質なアイデアを量産するブレインライティング
それでは、ここからは科学的に正しいブレインストーミングを紹介していきます。
まずは、2015年にテキサス大学のポール・パウルス博士が出した「ブレインライティング」です。
概要としては
「グループで座ってアイデアを大声で叫ぶのではなく、個々にアイデアを書き留めてから、グループで話し合う」
1991年のシラキュース大学と海軍訓練センターとの共同開発では、ブレインストーミングとブレインライティングのセッションの成果を比較した所、ブレインライティングのグループの方が、20%も良質なアイデアが生み出せました。
また、この方法は一人で紙にアイデアを書く出すよりも37%も良い考えが浮かぶ可能性が高まるそうなんですね。
具体的な方法はこちら。
- 解決したい問題や議題を決める
- その問題に対するアイデアを10~15分かけて紙に書き出す
- その紙を次の人に回し、新たなアイデアの紙を受け取る
- 受け取ったアイデアが書かれた紙に対して、10~15分かけて別の意見を書き出す
- 全ての紙を集めて、全員で検討する
このように常に渡された紙に対して一人で思考を巡らせて、都度渡していくって方法ですね。
このブレインライティングの効果が高い理由は、他人による妨害、プロジェクション・ブロッキングが起きない事と、強制的に参加させられるのでソーシャル・ローフィングが起きにくいからなんですよ。
まだありまして、今回ポール・パウルス博士が検証したのは「高速ブレインライティング」というものだったんですが、この方法なんと、通常のブレインライティングの1.74倍もアイデアが出やすくなったそうなんですね。
その名の通り、高速でアイデアの書き出しと意見を素早く行う方法でして
- 8分間かけてアイデアを書き出す
- 3分で隣の人の紙に意見を書く
- 以上2つのプロセスを何度も繰り返す
この3つを意識して行う方法となります。
研究で判明したブレストの真実 Qストーミングを勧める訳
~ブレインストーミングとは、会議室という格子に中に押し込められて、必死にアイデアをひねり出そうとする行為に等しい~
そういったイメージが根強くなってきていていますが、それもそうで、
「会議室内の他のメンバーからの圧力によって自由な発想がしにくく、当たり前のアイデアしか出てこない」
というのが、存在しているからです。
しかし、多くの会社は止めたがらないと思います。
なぜなら、グループ内で課題に取り組む姿勢がいかに重要か分かっているからです。
ただし、創造性が発揮できる環境というのは「孤独」であり、従来のブレインストーミングは矛盾するものとなっています。
こんな難題を解決する方法は、ブレインストーミングを「アイデアをひねり出す」のでは無く、「疑問や質問を生み出す」場にすることなんですね。
ハル・グレガーセン(インシアード教授)は、大企業におけるQストーミングの研究を続けており、従来のブレインストーミングよりも効果が高いことが分かっています。
どうしてもブレインストーミングでは、多すぎるアイデアによって出口が見えなくなり立ち往生することが多々あるとの事なので、ここで一歩下がりQストーミングを行うべきだと述べています。
特定の質問形式:どうすればできそうだろうか?
Qストーミングで質問を作成する際はこの「どうすればできそうだろうか?」というテンプレートを使う事を強く推奨しています。
この質問形式の提唱者ミン・バサデューは、40年もの間、この言葉を企業に伝えてきたそうです。
バサデュー曰く
「企業内でイノベーションを起こそうとする人たちは、創造性を促すどころか、阻止しかねない言葉を使って自分たちの直面している課題について語ることが多い」
とのことで、人は無意識的に「どうすれば出来るだろうか?」「これをどうすべきだろうか?」と
問う所から始めてしまうそうなんですね。
これは暗に「自分たちは本当にこれをする必要があるのか、本当に出来るのか」という判断になってしまっているんです。
一方で「できそうか」という言い回しに変える事で
「自分の判断を先送りできるので、人は自由に選択肢をつくり出し、多くの可能性を開けるようになる」
という心理状態になることが重要だと述べているんですね。
まとめ
いかがっだったでしょうか。
この時点での効果的なブレインストーミングは、やはりブレインライティングが最も有力かと個人的にも思います。
まぁ、自分の会社がゴリゴリのブレインストーミング派だったらいきなりブレインライティングをやろうとしても中々無理難題な気もしますが、自分がチーム長となった時にはこの方法を試してみるといいと思います。
それでは今回はこれで以上です。
次回の記事でお会いしましょう。

